1997 Fiscal Year Annual Research Report
エイズ流行がアフリカ地方病型カポシ肉腫に与える影響
Project/Area Number |
09041188
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鳥山 寛 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教授 (00108359)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
板倉 英世 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (00010512)
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Keywords | カポシ肉腫 / アフリカ / AIDS / 発癌ウィルス / 細胞起源 |
Research Abstract |
カポシ肉腫(KS)はAIDSに高率に合併する疾患として注目されている。しかしながら、AIDS発生以前より、アフリカ、とくに低緯度の熱帯アフリカ地域にはAIDSとは関連性を持たない地方病、あるいは風土病としてのKSの存在が知られていた。また、熱帯アフリカ地域においては1980年代半ばより、急速にAIDSが蔓延していることも周知の事実である。組織学的にはアフリカ地方病型KSとAIDS関連型KSの間には、際だった差は認められない。しかしながら、PCR法をもちいた我々の研究では、AIDS関連型KSからはある種のヘルペスウィルスが見つかっているが、アフリカ地方病型KSからは見つかっておらず、アフリカ風土病型KSとAIDS関連型KSとの間には発生機序になんらかの違いがあると思われる。本調査では東アフリカ・ケニアにおいてKSの疫学、組織学およびウィルス学的検索をおこない、1)全悪性腫瘍におけるKSの頻度が急速に増加した、2)女性におけるKSの件数、および頻度が増加した、3)以前は乳幼児期と中高年期の、2峰性が見られた頻度に青壮年期が加わり、3峰性となった、4)KS患者の平均年令が若年化した、5)アフリカ地方病型KSでは見られなかった、成人でのリンパ節浸襲例が増加した、6)以前はほとんど発生のなかった熱帯高地や乾燥地帯の住民間での件数が増加した、などの結果を得た。これらのことから、東アフリカ・ケニアにおいて以前から存在するアフリカ地方病型KSにかわって、AIDS関連型KSが急速に増加していることがわかった。また、電顕、免疫染色体による細胞起源の検索の結果、両型のKSとも従来より言われてきた血管内皮細胞由来でなく、血管内皮細胞から血管周囲細胞、平滑筋細胞にわたる多分化能を有する間葉系細胞がその起源であると示唆された。両型KS細胞内の各種ウィルスの所在については、現在検索を続行中である。
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