1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09044009
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Research Institution | Koshien University |
Principal Investigator |
廣田 昌希 甲子園大学, 人間文化学部, 教授 (30002744)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨山 一郎 大阪大学, 文学部, 助教授 (50192662)
杉原 達 大阪大学, 文学部, 教授 (40113138)
小路田 泰直 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (30186671)
島薗 進 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (20143620)
西川 祐子 京都文教大学, 人間学部, 教授 (50183538)
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Keywords | 近代日本 / 社会史 / 文化史 / 国家 / 民族 |
Research Abstract |
本研究では、5月と7月に京都と東京で日本側スタッフによる研究会をもち、9月には、アメリカ合衆国コロンビア大学とカリフォルニア大学サンディエゴ校で延べ4日間の国際シンポジウムを行った。こうした研究会、シンポジウムの目的は、近代日本の「近代」性を、ジェンダー、国民国家、文学、科学、欲望など多様な文脈から検討するということと、こうした日本研究の枠組み自身を問題化するということであった。すなわち、日本における自国史としての日本史とアメリカにおける地域研究としての日本研究という枠組みを、問い直すという作業である。こうした研究会、シンポジウムにより得られた知見、及び今後の課題は以下の通りである。 1、性の歴史、近代文学の誕生、近代科学の成立、地域社会の国民統合、文化統合といった歴史的展開は、日本史という枠組みに収まりきらず、またさらに、近代における人の移動の拡大は、一国内に居住し続けることを前提にした歴史記述に大きな疑問を投げかけている。こうした近代を検討することにより、日本史という枠を前提することの問題性が明らかになった。2、日系アメリカ人の歴史や、日本とアメリカ両者の歴史の中で議論されなければならない沖縄の近代などを考察するなかで、アメリカ自身の歴史から切り放された地域学としての日本学の限界性が明らかになった。 以上から、次年度以降、自国史としての日本研究と地域研究としての日本研究の両者を批判的に検討しながら、日米の日本研究者がこれまでとは異なる新たな関係性の中で、具体的に歴史研究を進めることが課題となる。
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Research Products
(31 results)
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[Publications] 安丸 良夫: "民衆宗教と近代という経験" 天理大学おやさと研究所年報. 3号. 75-88 (1997)
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[Publications] 安丸 良夫: "「従軍慰安婦」問題と歴史家の仕事-「証言」と「実証」をめぐって-" 世界. 646号. (1998)
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[Publications] 島薗 進: "近代日本の修養思想と文明観-新渡戸稲造の場合" 脇本平也・田丸徳善編『アジアの宗教と精神文化』. 406-431 (1997)
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[Publications] 島薗 進: "オウム真理教と超越への希求" 色川大吉・宮田登編『現代の世相8 転換期の世相』. 33-64 (1997)
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[Publications] 島薗 進: "修養道徳型新宗教教団の発生" 沼義昭博士古希記念論文集編集委員会編『宗教と社会生活の諸国』. 91-112 (1998)
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[Publications] 冨山 一郎: "「琉球人」という主体" 思想. 878号. 5-33 (1997)
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[Publications] 成田 龍一: "帝国主義/植民地主義/ナショナリズム" 世界. 640号. 98-102 (1997)
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[Publications] 広田 昌希: "文化交流史研究の課題" 文化交流史研究. 1号. 1-14 (1997)
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[Publications] 広田 昌希: "文明開化期のジェンダー" 江戸の思想. 6号. 79-95 (1997)
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[Publications] 杉原 達: "思想としての「現場探訪」" 思想. 877号. 1-3 (1997)
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[Publications] 杉原 達: "中国人強制連行解明の新段階に向けて-問題提起" 報告集 中国人強制連行国際シンポジウム大阪集会. 42-45 (1997)
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[Publications] 杉原 達: "総論" 東アジアの冷戦と国家テロリズム-台湾シンポジウム報告集. 7-12 (1997)
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[Publications] 長志 珠絵: "教化と文化の間-「国語」問題と領台初期" 文化交流史研究. 1号. 75-102 (1997)
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[Publications] 長志 珠絵: "民権〈運動〉研究と「アジア」論" 自由民権(町田市立自由民権記念館紀要). 10号. 54-59 (1997)
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[Publications] 横田 冬彦: "近世村落社会における〈知〉の問題" ヒストリア. 149号. 1-27 (1998)
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[Publications] 横田 冬彦: "江戸時代の在村医-伊丹市南野村・笹山家の資料から" 地域研究いたみ. 27号. 50-67 (1998)
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[Publications] Andrew Gordon: "Mangaging the Japanese Household" Social Politics. summer. 245-83 (1997)
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[Publications] Carol Gluck: "The lnvention of Edo" Invented Traditions in Moderm Japan. (1998)
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[Publications] Carol Gluck: "The End of the Postwar" Public Culture. 10-1. (1997)
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[Publications] Carol Gluck: "Committing Social Science at the Turn of the Millennium" 社会科学研究. 49-2. (1997)
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[Publications] 冨山 一郎: "動員される身体" ファシズムの想像力(池田造土他編). 126-154 (1997)
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[Publications] 冨山 一郎: "伊波普猷を読む" 月刊図書. 1月号. 16-20 (1998)
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[Publications] Victor Koshman: "Democratic Revolution and State in the Postwar" Cornell Historical Review. April/May. 3-14 (1997)
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[Publications] Victor Koshman: "The Nationalism of Culturel Uniqueness" American Historical Review. 102-3. 758-768 (1997)
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[Publications] Victor Koshman: "The New Economic Ethics During World War II" Japan Foundation Newsletter. XXV-2. 8-10 (1997)
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[Publications] Dvid Howell: "The Meiji State and the Logic of Ainu Protection" New Directions in the Study of Meiji Japan (Helen Hardace ed.). 815-847 (1997)
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[Publications] 島薗 進: "現代宗教の可能性-オウム真理教と暴力" 岩波書店, 202 (1997)
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[Publications] 上野 千鶴子: "ナショナリズムとジェンダー" 青土社, 229 (1998)
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[Publications] Carol Gluck: "Asia in Western and Wold History" M.E.Sharpe, 998 (1997)
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[Publications] 小路田 泰直: "日本史の思想" 相書房, (1997)
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[Publications] Lours Young: "Japan's Total Empire" California University Press, 487 (1998)