1998 Fiscal Year Annual Research Report
中国における諸民族文化の動態と国家をめぐる人類学的研究
Project/Area Number |
09044015
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
横山 廣子 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 助教授 (30143324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小長谷 有紀 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 助教授 (30188750)
塚田 誠之 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 助教授 (00207333)
庄司 博史 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 教授 (80142016)
田村 克己 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 教授 (40094156)
長野 泰彦 国立民族学博物館, 民族社会研究部, 教授 (50142013)
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Keywords | 民族間関係 / 経済発展 / 民族的アイデンティティ / 文化変容 / 観光化 / 基層文化 / 法政策 / 文字と言語 |
Research Abstract |
初年度の成果に基づき、各自、問題点をさらに絞り込んだ調査研究を行った。モンゴル地域については、1現地の行政担当者との討議を含めた赤峰地区の発展モデルに関する多面的な分析, 2,土黙特地区におけるモンゴル族・漢族関係の歴史と文化変容に関する基本構図の掌握,3内モンゴル地区の地域差の掌握を通じた文化変容の分析,が進められた。青海地域については、土族を中心とする言語使用と文字教育と政策の実態が明らかにされ,分析が進められた。チベット地域については、1近年のチベット研究の成果の包括的整理と考察,2ポン教集団を通したチベット族・漢族関係の分析,が行われた。四川・貴州・雲南地域については、1ぺー族の個人史を通じた国家・社会体制の歴史的検討,2農耕と家禽化に関する文化史的解明,3国家法と民族慣習法との相互作用に関する資料収集,4観光化と国家政策をめぐる民族文化の変容に関するさらなる資料収集,5少数民族地域における伝統的定期市と経済状況全般に関する資料収集,が行われ、分析が続けられた。広西地域ではチワン族を中心として、1土俗文字および「中秋節」の角度からの民族間関係と文化変容の分析,2辺境民族貿易と人的文化的移動交流関係に関して継続的資料収集,が行われた。東南地域では、1漢族の宗族組織に焦点を当てた近年の社会・文化変化の様相の解明,2政治社会体制の変化と個人的アイデンティティに関する研究が進められた。さらに,中国文化あるいは社会全体に関する総括的研究として、各民族の神話中の民族関係の分析を通し、民族の始祖伝承と洪水神話との顕著な結びつきが明らかにされた。
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Research Products
(30 results)
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[Publications] 横山 廣子: "雲南における白族と漢族の関係" 周達生・塚田誠之編『中国における諸民族の文化変容と民族間関係の動態』. SER8. 449-465 (1999)
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[Publications] 横山 廣子: "雲南省大理ペー族地区に移住した漢族-明代軍屯に由来する人々" 塚田誠之・瀬川昌久・横山廣子編『南中国における移住とエスニシティ』. (1999)
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[Publications] 長野 泰彦: "ポン教から見えるアジア内陸文化の基層" SCIAS. 43. 34-36 (1998)
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[Publications] 塚田 誠之: "貴州省西部における民族間関係の動態-『屯群の未裔』たちをめぐって-" 周達生・塚田誠之編『中国における諸民族の文化変容と民族間関係の動態』. SER8. 427-448 (1999)
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[Publications] 塚田 誠之: "壮族の婚姻習俗『不落夫家』に関する史的考察-1949年以前の広西を中心として-" 『中国21』(愛知大学現代中国学会編). 6. (1999)
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[Publications] 小長谷 有紀: "モンゴルの葬送儀礼" 周達生・塚田誠之編『中国における諸民族の文化変容と民族間関係の動態』. SER8. 165-182 (1999)
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[Publications] Chie NAKANE: "Neo Trends in Tibetan Studies: Towards an Elucidatin of Tibetan Society" ACTA ASIATICA: Bulbtin of the Institute of Eastern Culture. 76. 40-80 (1999)
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[Publications] 大林 太良: "エーバーハルト" 20世紀の歴史家たち(3)世界編 上. 223-234 (1999)
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[Publications] 佐々木 高明(松谷・李・阪本と共著): "雲南省剣川剣海門口遺跡出土の炭化殻粒をめぐって-それはヒエではなく、アワであった-" 『国立民族学博物館研究報告』. 22-4. 803-827 (1998)
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[Publications] 佐々木 高明: "照葉樹林文化と日本の緑茶文化" 『緑茶文化と日本人』. 14-32 (1998)
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[Publications] 胡 起望: "近代小瑶山地境における土地関係の歴史研究" 聖徳学園岐阜教育大学紀要. 34. 1-19 (1997)
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[Publications] 胡 起望: "中国のもっとも西南端にいる瑶族" 聖徳学園岐阜教育大学紀要. 35. 79-102 (1998)
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[Publications] 佐々木 信彰: "中国の少数民族" 『共生の時代(仮)』.
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[Publications] 瀬川 昌久: "中国東南部におけるエスニック観光と「伝統文化」の再定義" 東北アジア研究. 3(印刷中). (1999)
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[Publications] 長谷川 清: "民族間関係と「歴史」の記憶-徳宏タイ族のエスニシティと民族的協会をめぐって" 周達生・塚田誠之編「中国における諸民族の文化変容と民族間関係の動態」. 411-426 (1998)
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[Publications] 長谷川 清: "国境を越えるネットワークとエスニシティの動態-雲南省・シプソーンパンナー、タイ・ルーの事例から-" 東南アジア研究. 35-4. 14-37 (1998)
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[Publications] 長谷川 清: "徳宏タイ族チンポー族自治州におけるタイ族(タイ・ヌー)研究の動向" 民博通信. 81. 116-123 (1998)
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[Publications] 長谷川 清: "祠と水と人-雲南省西双版納タイ族自治州、タイ・ルーのシンボリズムと『環境』観" 鈴木正崇編『講座 人間と環境 第10巻 大地と神々の共生』昭和堂. 10. (1999)
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[Publications] 馬 戎ほか: "赤峰地区発展模式分析" 〓以寧編「中国区域発展模式研究」(北京大学). (1999)
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[Publications] 周 星: "旅游産業与少数民族的文化展示-来自黔南的報告" 広西民族学院学報. 第4期. (1999)
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[Publications] 周 星: "村寨博物館:民族文化展示的突破与問題" 民族博物館学刊. 第3期. (1999)
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[Publications] 周 星: "民族習慣法与国家法制建設-以涼山彝族為例" 涼山民族研究. (2000)
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[Publications] 田村 克己: "文化の生産" ドメス出版, 348 (1999)
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[Publications] 周達生・塚田誠之: "中国における諸民族の文化変容と民族間関係の動態" 国立民族博物館, 465 (1998)
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[Publications] 小長谷有紀・楊海英: "草原の遊牧文明" 財団法人千里文化財団, 120 (1998)
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[Publications] 佐々木 高明: "地域と農耕と文化-その空間像の探求" 大明堂, 348 (1998)
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[Publications] 胡起望: "中国少数民族節日" (北京)商務印書館, 183 (1997)
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[Publications] 瀬川 昌久(分担執筆): "民族で読む中国" 朝日新聞社/可児弘明・他編, 444 (1998)
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[Publications] 瀬川 昌久(分担執筆): "地域の世界史5-移動の地域史" 山川出版社/松本宣郎・山田勝芳編(第2章「漢族のつくる地域-客家の移動と華南地域社会」執筆), 399 (1998)
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[Publications] 瀬川 昌久(分担執筆): "中原と周辺-人類学的フィールドからの視点" 風響社/末成道男編(第1章「香港中国人のアイデンティティー」と「あとがき」執筆), 421 (1999)