1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09044027
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
市川 光雄 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (50115789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 修三 国立民族学博物館, 教授 (70111086)
木村 大治 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教授 (40242573)
田中 二郎 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 教授 (30027495)
北西 功一 山口大学, 教育学部, 講師 (80304468)
佐藤 弘明 浜松医科大学, 教授 (40101472)
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Keywords | バカ・ピグミー / カメルーン / 熱帯雨林 / グローバリゼーション / 開発 / 自然保護 / 文化保全 / 将来像 |
Research Abstract |
平成9年度及び10年度に検討した狩猟採集社会の比較研究の枠組を踏まえて、アフリカ、カメルーン東部州の森林地帯において狩猟採集民バカ・ピグミーに関する現地調査をおこなった。この地域では、十数年前から大規模な伐採事業が始まり、森林破壊が進んでいる。また、それに対抗してさまざまな形での自然保護運動も活発に展開されている。開発=環境破壊と自然保護という、現代のグローバリゼーションの潮流と密接に関わる問題に直面する狩猟採集社会がどのようにこうした状況に対処しているかについて調査を行うとともに、彼らの狩猟採集文化の将来像についての検討を行った。 この地域の狩猟採集民の将来像としては、(1)農耕化、(2)賃労働への参入、(3)獣肉などの狩猟採集産物の商品化、(4)観光への関与、などいくつかの選択肢がある。このうち、農耕についてはすでにある程度は進んでいるが、今後、カカオやコーヒーなどの商品作物を栽培するようになれば、市場に近い好位置の農耕適地をめぐって農耕民との競合が激化するであろう。また、賃労働については、彼らが伐採会社に雇用される可能性はきわめて低く、当面は農耕民の手伝いやプランテーションでの日雇い労働という形態に限られようが、これによってこれまである程度の自律性を保ってきた彼らがカメルーン社会の最下層に位置づけられることになろう。彼らの狩猟採集文化を保全しつつ現代社会及び市場経済に適合する方法として、森林物産の商品化と観光活動への関与があるが、インフラなどの未整備のために森林物産の価格は低く、また彼らの生活場所である森林を対象にした観光もまだ発達していない。 最後に、これらのいずれの変化の道をたどる集団においても、バカ・ピグミーに特有の儀礼、とくに森林の精霊を招いて演ずる歌と踊りのフォーマンスが現在でも活発につづけられており、森林環境及び狩猟生活との深い関わりが彼らの文化的アイデンティティの核になっていることが確認された。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] ICHIKAWA M.: "Interactive Process of Man and Nature in the Ituri Forest of Congo"Challenging Ellusiveness (Leiden). 141-152 (1999)
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[Publications] ICHIKAWA M.: "The Forest World as a Circulation System"African Study Monographs. (in press).
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[Publications] ICHIKAWA M.: ""Interest in the Present" in the Contemporary National Economy"Hunters and Gatherers in the Modern Context. (in press).
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[Publications] KITANISHI K.: "The Aka and Baka: Food Sharing among Two African Hunter-gatherer Groups"Senri Ethnological Studies. (in press).
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[Publications] KIMURA D.: "Difference in Conversation Style between the Baka Pygmies and the Bantu"African Study Monographs. (in press).
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[Publications] SATO H.: "The Potential of Wild Yams as Staple Food in the African Rain Forest"African Study Monographs. (in press).
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[Publications] ICHIKAWA, M.: ""The Mbuti Pygmies", in: The Encyclopedia of Hunters and Gatherers (Lee and Daly, eds.)"Cambridge University Press. 511 (1999)
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[Publications] TANAKA, J. & K. SUGAWARA: ""G/ui ana G//and" in: The Encyclopedia of Hunters and Gatherers (Lee and Daly, eds.)"Cambridge University Press. 511 (1999)