1998 Fiscal Year Annual Research Report
非天然アミノ酸導入蛋白質を用いた蛋白質のミトコンドリア移行の分子機構の解析
Project/Area Number |
09044070
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
遠藤 斗志也 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70152014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SCHULTZ Pete カリフォルニア大学バークレイ校, 教授
吉久 徹 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助教授 (60212312)
西川 周一 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (10252222)
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Keywords | ミトコンドリア / タンパク質輸送 / 酵母 / 光架橋 / 膜透過装置 |
Research Abstract |
ミトコンドリアタンパク質の多くは,サイトゾルで前駆体として合成された後,ミトコンドリア外膜と内膜の膜透過装置の働きで,外膜と内膜を通過して,ミトコンドリア内部に移行する。本研究では,部位特異的に光架橋性の非天然アミノ酸(ペンゾイルフェニルアラニン誘導体)を導入した前駆体を用いて,膜透過装置との相互作用の解析を行い,タンパク質のミトコンドリア膜透過の仕組みを明らかにすることをめざした。 サプレッサーtRNA法を用いて,プレ配列中の様々な部位に,光反応性の非天然アミノ酸残基を部位特異的に導入したミトコンドリアタンパク質前駆体を系統的に調製した。この前駆体と膜電位を消失させたミトコンドリアをinvitroでインキュベートすることによりミトコンドリア外膜透過反応中間体を生成し,光照射によって架橋反応を行った。架橋産物について,架橋の相手を既知の膜透過装置構成タンパク質に対する抗体による免疫沈降実験により,同定した。以上の解析の結果,プレ配列の外膜透過は,これまで考えられていたような成熟体部分のunfoldingとは共役する必要がないことが明らかになった。続いて,消失させた膜電位を復活させることにより,外膜膜透過反応中間体の内膜通過を促し(チェイスし),これまで論争が続いていたTom22の膜間部ドメインの役割について検討した。その結果,Tom22の膜間部ドメインは,外膜膜透過装置から内膜膜透過装置への前駆体の引き渡しの効率を高めていることが明らかになった。これらの結果は,アミノ酸残基レベルの空間分解能を有する部位特異的光架橋反応を行うことによって初めて解明することができたものである。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] T.Kanamori et al.: "Uncoupling of transfer of the presequence and unfolding of the mature domain in precursor translocation across the mitochondrial outer membarne." Proc.Natl.Acad.Sci.USA. 96(in press). (1999)
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[Publications] Y.Kubo et al.: "Two distinct mechanisms operate in the reactivation of heat-denatured proteins by the mitochondrial Hsp70/Mdjlp/Ygelp chaperone system." J.Mol.Biol.286. 447-464 (1997)
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[Publications] M.Oka et al.: "Loss of hsp70-hsp40 chaperone activity causes abnormal nuclear distribution and aberrant microtubule formation in M-phase of Saccharomyces cerevisiae" J.Biol.Chem.273. 29727-29737 (1998)
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[Publications] S.Nishikawa and T.Endo: "Reinvestigation of the functions of the hydrophobic segment of Jemlp,a yeast endoplasmic reticulum membrane protein mediating nuclear fusion" Biochem.Biophys.Res.Commun.244. 785-789 (1998)
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[Publications] T.Nohara et al.(分担執筆): "Proceedings of the XIth International Congress on Photosynthesis(G.Gerab and J.Pusztai,eds.)(in press)" Cloning and characterization of chloroplast SecY proteins, (1999)
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[Publications] 西川周一,遠藤斗志也(分担執筆): "新版 微生物学実験法 (大和田紘一,黒岩常祥,杉山純多,高橋秀夫,徳田 元,渡辺 信,eds.)(印刷中)" 酵母の細胞内構造体の調製法, (1999)