1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09044091
|
Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
戸田 芙三夫 岡山理科大学, 理学部, 教授 (50036232)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 久一 愛媛大学, 工学部, 助手 (30229893)
田中 耕一 愛媛大学, 工学部, 助教授 (10116949)
豊田 真司 岡山理科大学, 理学部, 助教授 (80207646)
|
Keywords | 結晶中の動的分子挙動 / 結晶中の化学反応 / 単結晶から単結晶への反応 / 不斉選択的反応 / 無溶媒合成法 / 包接錯体結晶 |
Research Abstract |
ジアレンの結晶(A)を1時間加熱すると熱環化してジメチレンシクロブテンの結晶(B)に変換した。X線結晶構造解析によって、Aはs-トランス構造を取っていることが分かったので、AからBへの変換は、先ず、Aのs-トランス構造がs-シス構造に変換した後、熱環化が起こることになる。このような分子の大きな動きが空間的に制約されている結晶内で起こることは大変興味深い。更に、この結晶相反応は立体選択的に進行することも確かめた。 プロキラルな分子がキラルなホスト分子に包接されると、前者は包接結晶内でキラルに配列し、光照射によってキラルな反応が起こり光学活性体が得られた。この反応も結晶内で進行する。しかし、これらの反応では、包接体の単結晶が反応の進行とともに破壊されてしまう。これに対し、シクロヘキセノン、クマリン及びチオクマリンとキラルホストとの包接単結晶に光照射すると、単結晶から単結晶への反応が起こって、光学活性な光二量体の包接単結晶へ変換されることを見出した。 その他、いくつかの結晶相反応を開発した。例えば、Dieckmann反応、アゾメチン生成反応、マイケル付加反応などが無溶媒条件下で能率良く進行した。特に、アゾメチン生成反応はAFM法で詳細な研究を行った。 また、無溶媒条件下では反応が選択的に進行し易いことも明らかになった。例えば、ピリジン・HBr・Br_2塩とスチルベン及びカルコンを接触させると、それぞれメソ体及びエリトロ体の臭素付加物が選択的に生成した。これらの事実によって、結晶中で分子が動き易くかつ選択的に能率良い反応が起こることを明らかにできた。
|
-
[Publications] Fumio Toda: "Extremely Long C-C Bond in (-)-trans-1,2-Di-tert-butyl-1,2-diphenyl- and 1,1-Di-tert-butyl-2,2-diphenyl-3,8-dichlorocyclobuta[b]naphthalenes"J.Org.Chem. 64. 3102-3105 (1999)
-
[Publications] Fumio Toda: "The crystal and molecular structure of 2,7-dei-tert-4,5,9,10-tetraphenylbenzo[1,2;4,5]dicyclobutadiene"Chem,Commum. 319-320 (1999)
-
[Publications] Fumio Toda: "Stereoselective Thermal Conversion of s-trans-Diallene into Dimeyhylenecyclobutene via s-cis-Diallene in the Crystalline State"Angew.Chem.Int.Ed.. 37. 2724-2727 (1998)
-
[Publications] Fumio Toda: "Enantioselective Photochemical Reaction of N-phenyl Enaminones in Inclusion Complex Crystals Using a Chral Host Compound"J.Org.Chem.. 64. 2690-2693 (1999)
-
[Publications] Fumio Toda: "Effect of Overcrowding in [n]Radialanes on the Synthesis of Bis[4]radialenes"J.Org.Chem.. 64. 2287-2292 (1999)
-
[Publications] Fumio Toda: "A New Host 2,3,6,7,10,11-Hexahydroxytriphenylene Which Forms Chiral Inclusion Crystalline Lattice : X-Ray Stractural Study of the Chiral Crystalline Lattice"J.Phys.Org.Chem.. 12. 1-7 (1999)