1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09044124
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石田 清仁 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20151368)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HILLERT Mats スウェーデン王立工科大学, 名誉教授
ANSARA Ibrah 仏国ドメイン大学, 化学熱力学研究所, 所長
大沼 郁雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20250714)
大谷 博司 東北大学, 学際科学研究センター, 助教授 (70176923)
貝沼 亮介 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20202004)
|
Keywords | III-V化合物半導体 / 状態図 / 熱力学データベース / オプトエレクトロニクス / 液相成長法 / 気相成長法 / 相平衡 / 歪エネルギー |
Research Abstract |
III-V族化合物半導体(III=Al,6a,In:V=P,As,Sb)はSi半導体には見られない多くの特長を有している.さらに,これらの化合物同士の固溶体は混晶半導体と呼ばれており,発光デバイスや超高速デバイスとして,幅広く応用されている.混晶半導体のバンドギャップや格子定数などの物理的性質は組成によって制御できるため,目的の性質を有する化合物を作製するためには組成の制御が非常に重要である.特に,平衡に近い状態で行われる液相エピタキシャル成長(Liquid PhaseEpitaxy:LPE)法で結晶成長させる場合には,平衡状態図が不可欠である.しかし,基板上に非常に薄いエピタキシャル膜を成長させた場合,バルク材では予想もつかない相が出現したり,平衡組成が変化することが報告されている.そこで本研究では,III一V族化合物半導体の相平衡について,既存の熱力学データと本実験結果に基づいた熱力学解析により,バルク材と薄膜の相平衡を予測するためのデータベースを作成した. 液相については準正則溶体モデル.化合物相については副格子モデルを用いて両相の自由エネルギーを近似した.さらに,基板上に結晶成長させた薄膜については,薄膜と基板の間に生じる格子歪の効果を考慮して相平衡を解析した. 本研究では, 11通りの3元系の相平衡が計算できるパラメータを評価して,III-V族化合物半導体の熱力学データベースを構築した.格子歪を考慮した薄膜の相平衡を計算した一例として,InP基板の(100)面にGaAs-GaSb化合物を液相エピタキシャル成長させたとき,膜厚が1μmでは,基板と化合物薄膜が格子整合する51mol%GaAs近傍の組成にバルクの相平衡では存在しない単相領域が出現する.この計算結果はQuillecらの液相成長法による実験結果と良く一致している.同様に,種々の薄膜と基板の組み合わせについて解析を行った結果,相安定性は基板の格子定数と配向,および成長層の膜厚に大きく依存することが明らかになった.
|
-
[Publications] H.Ohtani: "Application of the CALPHAD method to materials design." Thermochimica Acta. 3598. 207-216 (1997)
-
[Publications] H.Ohtani: "Computational Materials Design" Spinger-Verlag(発表予定), (1999)