1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09044157
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 公 京都大学, 工学部, 教授 (00026048)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CLAYTON C.R. ニューヨーク州立大学, 材料工学部, 教授
GOLOVCHENKO ジェイエイ ハーバード大学, 理学部, 教授
KIMMERING L. マサチューセッツ工科大学, 教授
松尾 二郎 京都大学, 工学部, 助手 (40263123)
高岡 義寛 京都大学, 工学部, 助教授 (90135525)
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Keywords | クラスターイオン / 透過電子顕微鏡 / 増速拡散 / 多体衝突 / STM / 励起反応 / 格子間原子 |
Research Abstract |
現存のイオンビーム技術が直面している技術的限界を打開すべき新技術として、クラスターイオンビーム技術を提案し、基礎と応用技術に関する研究を行っている。ガスクラスターイオンビーム法とは、数百から数千個のガス原子からなるクラスターをイオン化・加速して、固体表面に照射するという手法である。この手法では表面のナノメートルオーダーの領域に超高密度の高速粒子が同時に入射するので、従来のプロセス技術では達成できない表面改質が可能となる。従って、ガスクラスターイオンビームによる表面改質法は、従来の単原子・分子イオンの照射による改質とは本質的に異なった効果を用いる表面改質の手法であるといえる。本研究では、京都大学のクラスターイオン照射と米国の大学が持つ高精度の結晶構造・表面界面および励起反応の評価技術を駆使して、基本的なクラスターイオンの固体への照射プロセスを明らかにして、材料プロセス技術を研究するこれらの衝突による基礎材料プロセス素過程を明らかにする。 京都大学の保有している高エネルギークラスターイオン注入装置、汎用ガスクラスター照射装置を用いて実験装置を用いて作成した試料を米国側において解析評価した。具体的には、クラスター衝突によって形成される固体表面界面反応および結晶構造変化と物性を透過型電子顕微鏡、電子励起やイオンビーム散乱法を駆使して評価した。その結果、サイズ10のホウ素クラスターを注入したときに形成される欠陥が、極めて浅く特異であることが明らかになった。この結果は、シリコン中の格子間原子による増速拡散の抑制に関する欠かすことのできない知見である。また、サイズ数千のArクラスターが金属に衝突したときに形成される大きな衝突痕が電子顕微鏡の観察によって見出され、京都大学で行ったSTM観察と良い対応を示した。これらの結果から、クラスター衝突特有の多体衝突効果や超高密度照射効果が起こる領域の大きさが明らかになり、これらの効果を利用したプロセス開発の基礎を確立することができた。
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[Publications] 山田 公・松尾 二郎: "ガスクラスターイオンビームによる固体表面プロセス" 応用物理. 66・6. 559-568 (1997)
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[Publications] I.Yamada, J.Matsuo, E.C.Jones, D.Takeuchi, T.Aoki, K.Goto and T.Sugii: "Range and damage distribution in cluster ion implantation" Materials Research Society Symposium Proceedings. 438. 363-374 (1997)
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[Publications] I.Yamada: "Prospects of materials processing by gas cluster ion beams" Application of Accelerators in Researach and Industry. 479-482 (1997)
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[Publications] Z.Insepov and I.Yamada: "Computer simulation of crystal surface modification by accelerated cluster ion impacts" Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B. 112. 44-48 (1997)
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[Publications] T.Seki, T.Kaneko, D.Takeuchi, T.Aoki, J.Matsuo, Z.Insepov and I.Yamada: "STM observasion of HOPG surfaces irradiated with Ar cluster ions" Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B. 121. 781-785 (1997)
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[Publications] M.Tanomura, D.Takeuchi, J.Matsuo, G.H.Takaoka and I.Yamada: "Fullerene ion irradiation to silicon" Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B. 121. 480-483 (1997)