1999 Fiscal Year Annual Research Report
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09044161
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
笠原 三紀夫 京都大学, 大学院・エネルギー科学研究科, 教授 (80027143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 浩平 京都大学, 大学院・エネルギー科学研究科, 助手 (10263154)
東野 達 京都大学, 大学院・エネルギー科学研究科, 助教授 (80135607)
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Keywords | 大気エアロゾル / 大気環境影響 / 地球温暖化 / 冷却化 / 液滴の固定化 / 元素濃度 / PIXE分析 / 酸性沈着 / 長距離輸送シミュレーション |
Research Abstract |
本年度は下記の3課題について検討した。 1.大気エアロゾル粒子の性状特性の把握(京都大学,ウィーン大学):エアロゾル粒子の大気環境に及ぼす影響を解明するためには、粒子の物理・化学的性状の把握が不可欠である。大気エアロゾルを各種条件下で分級捕集し、その物理・化学的性状を調べた。試料はバルクとしての平均的性状とともに、Micro-PIXE法を新たに導入し、個別粒子の性状をも調べた。元素別およびイオン別の粒度分布は3つのタイプに分かれること、粒度分布の化学的混合状態は粒子ごとに大きく異なることなどを明らかにした。 2.粒子性状と放射強制力の測定(ウィーン大学、京都大学):ウィーン大学が開発したテレフォトメータを京都大学に設置し、他の太陽光強度測定機器類およびエアロゾル測定機器類との同時測定を行い、放射強制力を推算した。京都市における長期的な平均放射強度は-1.5W/cm^2となり、エアロゾル粒子が冷却化効果をもつことを定量的に示した。なお、放射強制力は粒子の性状により大きく異なり、光を吸収する元素状炭素が多いと放射強制力はプラスの温暖化効果を示した。 3.液滴粒子の固定化と酸性雨現象の解明(京都大学、ウィーン大学):液滴粒子を固形・安定化し、個々の液滴粒子の物理・化学的性状を測定する手法を開発し、霧粒、雨滴1粒ずつの粒径および化学組成を測定した。数μm〜数10μmの霧粒については、検出感度以下で化学組成は明らかでないが、雨滴については1粒1粒の雨滴の化学組成を分析することができた。また、酸性沈着に関しては、東アジア地域を対象とした長距離輸送・沈着モデルを開発し、東アジア地域のSO_2,NOx排出量および各地域ごとの酸性物質の年間沈着量を推定した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] M.Kasahara,T.Chatani,S.Tohno,R.Holler: "Physical and chemical characteristics of atmospheric aerosols in Kyoto"J. Aerosol Science. 30,S1. S257-S258 (1999)
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[Publications] M.Kasahara,S.Tohno,S.Afashi,C.J.Ma: "Single particle analysis-Its importance in aerosol research ?"Abstracts of First Asia Aerosol Conference. 136-137 (1999)
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[Publications] R.Holler,M.Kasahara,K.Gotoh,Y.Iwasaka: "A study on the relationship of potical and chemical aerosol properties at Nagoya"Abstracts of First Asia Aerosol Conference. 241-242 (1999)
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[Publications] M.Kasahara,C.J.Ma,S.Tohno: "Characterization of atmospheric aerosols using PIXE, EAS and IC"Extended Abstracts of PM2000: Particulate Matter and Health. 36-37 (2000)
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[Publications] 山本浩平,吉田知央,荒木真,星野順至,笠原三紀夫: "東アジア地域における資源・人為起源硫黄化合物からの沈着量推定-雲内変質過程を考慮した長距離輸送モデルの開発と評価-"大気環境学会誌. 35,1. 21-35 (2000)
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[Publications] 安座間信暁,南齋規介,東野達,笠原三紀夫: "粒子状大気汚染物質の起源別排出量の推定と解析"第16回エネルギーシステム・経済・環境コンファレンス講演論文集. 129-134 (2000)
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[Publications] Mikio Kasahara: "Analytical Chemistry of Aerosols (分担執筆)"Lewis Pubisher. 486(145-171) (1999)