1997 Fiscal Year Annual Research Report
自己修復性耐酸化機能を有する炭素基材料の開発に関する共同研究
Project/Area Number |
09044176
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
佐野 秀明 長崎大学, 工学部, 助手 (10253634)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WEI YongーLia 中国科学院, 金属研究所, 助手
GE Su 中国科学院, 金属研究所, 助手
SHEN ZuーHong 中国科学院, 金属研究所, 教授
CHEN HuiーMin 中国科学院, 金属研究所, 教授
小林 和夫 長崎大学, 工学部, 教授 (30225495)
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Keywords | 炭素材料 / 炭化ホウ素 / 炭化ケイ素 / 複合材料 / 耐酸化性 / 機械的特性 / 酸化保護層 / 自己修復機能 |
Research Abstract |
1.研究概要 高温構造材料として用いられる炭素基材料に耐酸化特性を付与させる目的で、セラミックス粒子を分散複合化させた炭素/セラミックス複合材料を作製し、複合材料の耐酸化性に及ぼすセラミックスの添加効果を詳しく調べ、自己修復機能を有する構造材料の開発に至るまでの基礎的知見を収集した。 2.研究経緯 セラミックス成分としてB_4CおよびSiCを選び、日本側および中国側双方が粒径の異なる原料を用いて組成比の異なる炭素/B_4C/SiC複合材料をそれぞれ作製した。得られた複合材料について、微細構造、耐酸化性および機械的特性を評価した。評価は日本側および中国側で分担して行った。研究を進めるにあたり、平成9年8月に日本側研究者が中国へ出張して実験内容の打ち合わせを、また、平成10年2月に中国側研究者を招聘し、測定実験、本年度の研究成果の取りまとめおよび次年度の研究計画について打ち合わせを行った。 3.研究成果 炭素/セラミックス複合材料は、セラミックス成分として用いたB_4CおよびSiCの酸化により表面に形成されるボロシリケートガラス酸化保護層により優れた耐酸化性を発現し、特に、粒径の小さいSiCが耐酸化性発現に顕著に寄与することが見出された。さらに、酸化保護層形成時のB_4CおよびSiCの酸化とともに炭素成分の酸化が生じ、それに伴う複合材料の気孔率増加および機械的強度の低下が認められた。 以上の実験結果から、複合材料内部のB_4CおよびSiCは、それら自身が酸化して複合材料の酸化を保護するガラス層を形成することから、損傷等で消失した酸化保護層を再び形成する、すなわち自己修復機能を有することが示唆された。また、原料の粒径および複合材料の成分分布の制御が耐酸化性に加え高温機械的特性を向上させる有効な手段であることが推察された。
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