1997 Fiscal Year Annual Research Report
植物細胞無機イオン代謝において液胞が果たす役割の総合的解析
Project/Area Number |
09044211
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
三村 徹郎 一橋大学, 商学部, 教授 (20174120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
REID R.J. Department of Botany, Univ. Adelaide, Reserch Fe
SMITH F.A Department of Botany, Univ. Adelaide, Professor
DIETZ J Lehrstuhl Botanik I, Univ. Wuerburg, Senior Lec
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Keywords | 細胞膜 / 液胞膜 / 車軸藻 / 無機リン酸 / ナトリウム(Na) / プロトンATPアーゼ / 無機イオン代謝 / 植物栄養 |
Research Abstract |
栄養塩としての無機イオンは、植物成長における最も重要な物質群の一つである。無機イオン代謝において最も重要とされる細胞内小器官・液胞については、尚その機能、分子実体について不明の点が多い。本研究は、液胞のこの役割に焦点を絞り、生理学、細胞生物学、分子生物学それぞれ異なる手法を持ってイオン代謝の研究に取り組んできた研究者が国際的に協力することで新たな液胞機能の理解を進めることを目的とした。無機イオンとしてリン酸イオンに着目した研究を進めている。すでに昨年度において液胞膜イオン輸送系の一次能動輸送系として働くH^+-ATPaseの活性制御機構について、大麦単離液胞膜を用いて検討を進めた。今年度は単離液胞を利用して、リン酸取り込み系とATP活性化機構について調べた。大麦液胞膜のリン酸輸送系が、リン酸欠乏状態でATPによって活性化されることはすでに我々が明らかにしている。本年は、このATP依存性リン酸取り込み系のリン酸濃度依存性を調べた。液胞のリン酸取り込みは、リン酸の栄養条件に関わらず濃度に依存して直線的に上昇する。ATP依存の活性化はリン酸欠乏の液胞でのみ明らかであったが、濃度に対する変化はATP非存在下あるいは正常栄養塩下の液胞と同様であった。H^+-ATPaseの特異的阻害剤であるBafilomycinやFilomycinがリン酸取り込みのATPによる活性下を阻害した。これは、リン酸の液胞への取り込みが電位依存である可能性を示唆する。 一方、車軸藻単離節間細胞を用いて、リン酸欠乏下で、成長・分裂といった要素を除いて、液胞にリン酸輸送系が誘導できるかどうかを検討した。細胞膜のリン酸輸送活性は顕著に上昇するが、のリン酸輸送系には大きな変化は見いだせなかった。これは、細胞膜と液胞膜のリン酸輸送系が異なる制御機構の下にあることを示唆している。
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[Publications] Beilby M.J.: "Perfusion of charophyte cells: A critical analysis of the method." Journal of Experimental Botany. 48. 157-172 (1997)
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[Publications] Reid, R.J: "A high affinty Na-dependent phosphate uptake induced by P starvation in Chana" Plant nutrition-for sustainable food production and environment.137-138 (1997)
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[Publications] Mimura T.: "Control of phosphate transport across the plasma membrane of Chara corallina." Journal of Experimental Botany. 49. 13-19 (1998)