Research Abstract |
IME1(Inducer of Meiosis)は,出芽酵母の減数分裂開始を制御するマスター遺伝子であり,Rmelp(Repressor of Meiosis)は,一部体細胞においてIME1の転写を抑えることによって減数分裂を阻害している.既に,Rmelpが,in vivoにおいて-2030と-1950の2つの部位に結合に結合して,IME1の転写を抑制することを示した.今年度は,まず,Rmelpの機能ドメインを明らかにするために,マルトース結合蛋白質(MBP)との融合蛋白質としてRmelp及びその欠失変異体を作成した.そして,in vitroにおいても,MBP-Rmelpが,-2030と-1950の2つの部位に結合することを実証した.以上の結果から,酵母のrepressorをproximal repressors(α2/Mcmlp,Roxlp,Miglp,Ume6pなど)とdistal repressors(Raplp,Rmelp)に分類して考え,Rmelpによる転写抑制の特徴について考察した(Nucleic Acids Res.,revised). 一方,これまでに,Rmelpによる転写抑制機構を「activator exclusion at a distance」と名づけ,Rmelpが転写抑制クロマチンドメインを構築する,というモデルを提唱した.これを検証するために,Rmelpの結合部位を挿入したCYC1-lacZミニ染色体のヌクレオソームリピートを解析した。その結果,(1)UAS領域では,二量体,三量体のヌクレオソームが優勢的に見られ,よりtightなクロマチン構造を形成していること,(23)Rmelpの結合部位から約200bp下流にかけて,subnucleosomal bandsが観測され,特殊なクロマチン構造を形成していること,が示唆された.
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