1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09044235
|
Research Institution | Meisei University |
Principal Investigator |
清水 光弘 明星大学, 理工学部, 助教授 (80231364)
|
Keywords | クロマチン / ヌクレオソーム / 転写制御 / リプレッサー / ヒストン脱アセチル化 / 蛋白質-DNA相互作用 / 出芽酵母 / 減数分裂 |
Research Abstract |
今年度は,清水のコロンビア大学派遣(H11.8.19-9.23)を通して,A.P.Mitchell博士(研究協力者)との共同研究を以下のように展開した.本研究は,出芽酵母の減数分裂開始を制御する遺伝子IME1とIME2に対するリプレッサーであるRme1pとUme6pによる転写抑制に果たすクロマチンの役割を解明することを目的としている.既に我々は,Rme1pによる転写抑制機構として,Rme1pがRNAポリメラーゼIIホロ酵素の構成因子であるRgr1p-Sin4pと協同して,転写抑制クロマチンドメインを構築するというモデルを提唱した.このクロマチンドメイン形成機構を明らかにするために,Rme1pと相互作用する新規蛋白質因子を探索したところ,その候補としてGal11pが同定され,現在,それらの間の相互作用を調べている.さらにRme1pのDNA結合ドメインは,3つのZn-fingerと16残基のC-末端領域(C-TR)から成ることが分かった.in vivoでの点変異体の機能解析から,C-TRはRme1pによる転写抑制と胞子形成阻害に必須であることが示された.一方,Ume6pはヒストン脱アセチル化酵素Rpd3pと複合体を形成して,IME2の転写を抑制している.IME2由来のUme6p結合部位を挿入したCYC1-lacZ及びHOP-lacZのin vivo footprintingによる解析から,Ume6p-Rpd3pによって転写抑制されているプロモーターに対して,アクチベーターは容易にアクセスできることが実証された.したがって,ヒストン脱アセチル化はヌクレオソーム構造をより強固にするというよりは,むしろアクチベーターと基本転写因子群とのコミュニケーションを阻害するという新規な機構が考えられる.以上,減数分裂への移行という細胞運命を決定する転写制御機構には,クロマチンが重要な役割を果たしていることが強く示唆される.
|