1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09044288
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 國寛 京都大学, 化学研究所, 教授 (00027070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SAMOCHOCKI M ポーランド科学アカデミー医学研究センター, 助手
STROSZNAJDER ジョアンナ ポーランド科学アカデミー医学研究センター, 教授
安達 善文 京都大学, 化学研究所, 助手 (50201893)
田中 静吾 京都大学, 化学研究所, 助教授 (70263150)
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Keywords | アルツハイマー病 / Aβアミロイド / アポトーシス / PC12細胞 / α-シヌクレイン / ポリ(ADP-リボース) / PARS / NO(一酸化窒素) |
Research Abstract |
(1)Aβアミロイドによる神経細胞死(アポトーシス)の誘導 日本側ではまず、NGFにより神経細胞に分化させたPC12細胞に、Aβアミロイドの断片25-35(Aβ25-35)を添加し、MTT法にてその神経毒性を評価した。その結果、同断片は100nMレベルで毒性を示すことが確認された。一方、アルツハイマー病脳に沈着するアミロイドのもう1つの成分であるα-シヌクレインは、Aβと異なり単独では神経毒性を示さなかった。さらに、Aβアミロイドによって引き起こされる細胞死がアポトーシスであるか否かを、DNAの断片化やTUNEL法を用いて検討中である。 (2)神経細胞死におけるポリ(ADP-リボース)シンテターゼ(PARS)の挙動 PARSはアポトーシス経路のうち、最終段階で働くと考えられている。上記のごとくAβアミロイドで誘導されるアポトーシスへの関与を検討する目的で、Aβアミロイド投与後の本酵素活性を測定したところ、いったん活性化された後、急激に不活化されることが明らかになった。PARSはアポトーシスに際して活性化される蛋白分解酵素キャスパーゼ-3によって切断されることが分かっており、上記の結果からPARSの活性変動と断片化の関連が示唆された。 (3)神経細胞死における一酸化窒素(NO)の役割 ポーランド側では、虚血・再潅流動物脳を用いて、NO合成酵素の活性とNO濃度の測定をおこなっている。さらに、NOのラジカル化(NO・)およびペルオキシ亜硝酸(ONOO^-)の産生→DNAの傷害→PARSの活性化→ATPの枯渇→神経細胞死という経路を証明するため、この系におけるPARS活性の測定とPARS阻害剤の効果を検討している。 以上のごとくポーランド側で確立した実験系(1)を、日本側のもつ実験系(1)、(2)に導入し、アルツハイマー病脳における神経変性機構、特にAβアミロイド、NO、PARSの関連とその機序を解明するのが次年度の課題である。
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[Publications] Li, S., et al.: "Glutamate transporter alterations in Alzheimer disease are possibly associated with abnormal APP expression" J.Neutopathol.Exp.Neurol.56. 901-911 (1997)
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[Publications] Tanaka, S., et al.: "Inferior temporal lobe atrophy and APOE genotypes in Alzheimer's disease.X-ray computed tomography,magnetic resonance imaging and Xe-133 SPECT studies" Dement.Geriatr.Cogn.Disord.9・1. 90-98 (1998)
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[Publications] Tanaka, S., et al.: "Association of microsattellite polymorphism in the CYP2D locus with Lewy body variant of Alzheimer's disease" Neurology. 20(in press). (1998)
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[Publications] 田中 静吾: "アルツハイマー病の遺伝子診断" 最新医学. 52・増. 2160-2169 (1997)
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[Publications] 田中 静吾・上田 國寛: "アルツハイマー病の原因遺伝子とその発症のメカニズム" 遺伝子医学. 1・1. 62-71 (1997)
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[Publications] 田中 静吾: "アルツハイマー病とパーキンソン病の発症に共通して関与するNACP/α-シヌクレイン" 化学と生物. 36・(4). 786-787 (1998)