1997 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス感染を抑制する新生体防御物質としてのプロテアーゼ阻害物質の同定と医学応用
Project/Area Number |
09044314
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木戸 博 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 教授 (50144978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BODE Wolfram マックスプランク研究所, 生化学部, 教授
FRITZ Hans ミュンヘン大学, 臨床化学生化学部, 教授
田代 眞人 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 部長 (90111343)
井上 雅広 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 助手 (00232562)
唐渡 孝枝 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 助教授 (60108876)
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Keywords | インフルエンザウイルス / プロテアーゼ / プロテアーゼインヒビター / トリプターゼクララ / 生体防御物質 / アンチロイコプロテアーゼ / エラフィン / 抗ウイルス作用 |
Research Abstract |
我々はこれまでに、インフルエンザウイルスの外膜糖蛋白質を限定的に分解してウイルスの膜融合活性とウイルスの感染性を発現させる宿主細胞のプロテアーゼを発見し、トリプターゼクララと命名してきた。このトリプシン型プロテアーゼの阻害剤は、インフルエンザウイルスの気道への感染をほぼ完全に抑制する。本研究では以上の研究を背景にして、トリプターゼクララの活性を阻害する物質群を生体内に検索し、生体防御の分子機能の解明を試みている。これまでに明らかになったトリプターゼクララの生体内阻害物質には、涙液、唾液、気道分泌液、膣分泌液に多く含まれるアンチロイコプロテアーゼと膜結合エラフィン、および気道分泌液に含まれる肺サーファクタントがある。 本年度の研究で、特にアンチロイコプロテアーゼの作用機序を解明し、アンチロイコプロテアーゼの各種変異体を作成してより強力な低分子インヒビターの開発を試みた。その結果、アンチロイコプロテアーゼのトリプターゼクララに対する阻害活性は、C末端側の半分にありN末端側の半分は阻害活性の発現に全く関与しないことが判明した。さらにC末端側の活性中心はLen^<72>-Met^<73>にあり、この部位のどちらかのアミン酸を塩基性のアミノ酸に変えると活性が増強されることが明らかになった。アンチロイコプロテアーゼと相同性の高いエラフィンについても各種変異体を作成し、トリプターゼクララの活性を強く阻害するエラフィンの作成を試みている。なおこれらの阻害剤を大腸菌に大量に発現させ、X線解析による三次元構造の解析を進めている。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Kido, H.: "Protease Inhibitors and a Pulmonary Surfactant in Airway Fluid are Potential Defensive Compounds Against Infection by Influenza A and Sendai Viruses," Proteolysis and Protein Turnover. 535-554 (1997)
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[Publications] Kido, H.: "Molecular Basis of Proteolytic Activation of Sendai Virus Infection and the Defensive Compounds for Infection," Biol.Chem.,. 378. 255-263 (1997)
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[Publications] Beppu, Y.: "Human Mucus Protease Inhibitor in Airway Fluids is a Potential Defensive Compound against Infection with Influenza A and Sendai Viruses," J.Biochem.121(2). 309-316 (1997)
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[Publications] Tashiro, M.: "Inhibitory Effect of Pulmonary Surfactant on Sendai Virus Infection in Rat Lungs," Arch.Virol.141. 1571-1577 (1996)
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[Publications] Kido, H.: "Cellular Proteases Involved in The Pathogenicity of Enveloped Animal Virus,Human Immunodeficiency Virus,Influenza Virus A and Sendai Virus," Advan.Enzyme Regul.36. 325-347 (1996)
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[Publications] Kido, H.: "Proteaes of Infectious Agents" Academic Press (Ben M.Dunn ed.)(in press), (1998)
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[Publications] Kido, H.: "Medical Aspects of Proteases and Protease Inhibitors" IOS Press (N.Katunuma,H.Kido et al.eds.), 205 (1997)