1998 Fiscal Year Annual Research Report
ウイルス感染を抑制する新生体防御物質としてのプロテアーゼ阻害物質の同定と医学応用
Project/Area Number |
09044314
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
木戸 博 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 教授 (50144978)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BODE Wolfram マックスブランク研究所, 生化学部, 教授
FRITZ Hans ミュンヘン大学, 臨床化学生化学部, 教授
矢野 仁康 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 助手 (40304555)
唐渡 孝枝 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 助教授 (60108876)
田代 眞人 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 部長(研究職) (90111343)
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Keywords | インフルエンザウイルス / プロセシング / トリプターゼクララ / プラスミン / ミニプラスミン / アンチロイコプロテアーゼ / エラスターゼ / ウロキナーゼ |
Research Abstract |
インフルエンザウイルスの感染を抑制する生体内物質として、これまでに我々は肺サーファククントとアンチロイコプロテアーゼを見出し強力な抗ウィルス剤の開発を行うための基礎研究を行ってきた。本年度の研究においては、これまでに阻害剤検索のための標的としてきたトリプターゼクララ以外に、生体内ではミニプラスミンもその標的になりうることを明らかにした。分子量90kDaのプラスミノーゲンを構成するH鎖と、プロテアーゼ領域としてのL鎖の中で、ミニプラスミンはL鎖とH鎖のKringle 5領域のみを持つ酵素である。すなわちKringle l〜4までの領域を欠失することから、極めて疎水性に富む分子量38kDaの蛋白質である。この酵素は、トリプターゼクララと同様にインフルエンザウイルスや、センダイウイルスの外膜糖蛋白を切断して、膜融合結合活性を発現して、活性型ウイルスを形成した。しかしミニプラスミンは、アンチロイコプロテアーゼでその活性が阻害されないことが明らかとなった。一般にミニプラスミンは、ウロキナーゼとエラスターゼの2つのプロテアーゼによって切断されたときにのみ形成されるプロテアーゼである。したがって炎症性細胞の浸潤に伴って、顆粒球から放出されるエラスターゼが多くなると、アンチロイコプ口テアーゼでは阻害されないインフルエンザウイルスの活性化機構の働くことが示唆された。今後トリプターゼクララ以外に、ミニプラスミンの阻害を考慮した抗ウイルス剤の開発がなされなくてはならない。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Yoshihito Beppu: "Human mucus protease inhibitor in airway fluids is a potential defensive compound against infection with influenza A and Sendai viruses" J.icohem.121. 309-316 (1997)
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[Publications] Hiroshi Kido: "Molecular basis of proteolytic activation of Sendai virus infection and the defensive compounds for infection" Biol.Chem.378. 255-263 (1997)
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[Publications] 木戸 博: "ウイルス感染を抑制する細胞性プロテアーゼとプロテアーゼインヒビター(インフルエンザとエイズウイルスを中心として)" 蛋白質核酸酵素. 42(14). 2399-2407 (1997)
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[Publications] 木戸 博: "インフルエンザをめぐるトピックス" Pharma Medica. 16(11). 91-99 (1998)
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[Publications] 木戸 博: "インフルエンザウイルスとセンダイウイルス感染を抑制する細胞性プロテアーゼとプロテアーゼインヒビター" 化学療法の領域. 15(2). 42-51 (1999)
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[Publications] Hiroshi Kido: "Human mucus protease inhibitor and its mutants are novel defensive compounds against infection with influenza A and Sendai vituses" Biopolymers. (in press). (1999)
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[Publications] Hiroshi Kido: "Protease inhibitors and a pulmonary surfactant in airway fluid are potential defensive compounds against infection by influenza A and Sendai viruses" Proteolysis and Protein Turnover(V.K.Hopsu Havu ed.)IOS press, 10 (1997)
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[Publications] Hiroshi Kido: "Human mucus protease inhibitor and its mutants prevent infection by influenza A and Sendai viruses" Medical Aspects of Proteases and Protease Inhibitors(N.Katunuma,H.Kido,H.Furitz and J.Travis,eds.)IOS Press, 10 (1997)