1997 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞保護因子としてのアミノ酸トランスポーターの病態学的及び薬理学的意義の検討
Project/Area Number |
09044331
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Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
金井 好克 杏林大学, 医学部, 助教授 (60204533)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
TROTTI David ハーバード大学, 医学部, 助手
HEDIGER Matt ハーバード大学, 医学部, 準教授
細山田 真 杏林大学, 医学部, 助手 (00291659)
楯 直子 杏林大学, 医学部, 助手 (00201955)
遠藤 仁 杏林大学, 医学部, 教授 (20101115)
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Keywords | トランスポーター / アミノ酸 / 神経細胞 / シスチン / システイン / 酸化的ストレス / クローニング / グリオーマ |
Research Abstract |
中枢神経系において、興奮毒性や酸化的ストレスなどから神経細胞を保護するために、神経細胞やグリア細胞あるいは血液・脳関門に存在するアミノ酸トランスポーターのうち、シスチンあるいはシステインの輸送を担当するトランスポーターの分子的実体を明らかにすることを目的として分子クローニングを行った。シスチン輸送を担当するシスチン・グルタミン酸交換輸送体のクローニングを目的として、酸化的ストレス負荷したマクロファージから抽出したmRNAを材料として、常法に従いC-シスチンの取り込みを指標に発現クローニングを行った。しかし、目的とするcDNAは得られなかったため、目的とするトランスポーターは複数因子から成り立っている可能性を考え、複数因子の取り扱いを可能とする共発現クローニングの手法の確立を試みた。アミノ酸輸送活性化因子として知られ、トランスポーターのサブユニットとして機能していることが示唆されていた膜タンパク質4F2hcとC6グリオーマ細胞由来のmRNAの共発現クローニングを行った結果、4F2hcと結合するトランスポーター(LAT1と命名)を単離することができ、共発現クローニングの手法が確立された。LAT1は、その機能発現に4F2hcを必須の因子として要求する全く新しいタイプのトランスポーターであり、発現する機能は古典的アミノ酸輸送系Lに相当する中性アミノ酸輸送であった。LAT1は神経系に発現し、L-DOPAや、分岐側鎖や芳香環を持つ中性アミノ酸を輸送するため、細胞栄養のみでなくモノアミン系機能とも関わっていることが示唆される。また、さらに他の二因子を必要とする一群のアミノ酸トランスポーターの存在を示唆し、アミノ酸トランスポーター研究に新しい視点を打ち立てるものである。シスチン・グルタミン酸交換輸送体についても、4F2hc類似の補助因子を現在単離しており、本年度において確立した共発現クローニング法によりクローニングを行う方針である。
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Research Products
(11 results)
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[Publications] Kanai, Y.: "Family of neutral and acidic amino transporters:molecular biology,physlology and medical implications" Curr.Opin.Cell Biol.9. 565-572 (1997)
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[Publications] Utsunomiya Tate, N.: "Tissue specific variants of glutamate transporter GLT-1." FEBS Letters. 416. 312-316 (1997)
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[Publications] Sekine, T.: "Expression cloning and characterization of a novel multispecific organic anion transporter" J.Biol Chem.272. 18526-18529 (1997)
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[Publications] Kanai, Y.: "Substrate binding sites of glutamate transporters and structurally related neutral amino acid transporters." Jpn.J.Physiol.47. S55-S56 (1997)
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[Publications] Endou, H.: "A Nobe Na^+-dependent transporter with a high-affinity to glutamine." Contrib.Nephrol.121. 31-36 (1997)
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[Publications] Shayakul, C.: "Localization of the high-affinity glutamate transporter EAAC1 in rat kldney." Am.J.Physilo.(in press). (1998)
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[Publications] Romero, M.: "Expression cloning using Xen opus laevis oocytes." Methods Enzymol.(in press). (1998)
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[Publications] 金井 好克: "腎尿細管における糖輸送" 日本臨床. 55. 59-64 (1997)
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[Publications] 金井 好克: "分子医科学で病気を識るシリーズ5,チャネルとトランスポータその働きと病気:アミノ酸トランスポータとその異常による疾患" メジカルビュー社, 25 (1997)
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[Publications] 金井 好克: "最新内科学大系プログレスシリーズ10 腎:泌尿器疾患:アミノ酸トランスポーター" 中山書店, 9 (1997)
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[Publications] 金井 好克: "医系薬理学:トランスポーター" 中外医学社, 7 (1997)