1997 Fiscal Year Annual Research Report
シグナル伝達から見たT細胞の無反応状態(アナジー)の解析に関する共同研究
Project/Area Number |
09044332
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小安 重夫 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90153684)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
REINHERZ Ell ハーバード大学, 医学部・ダナファーバー癌研究所, 教授
松田 達志 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00286444)
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Keywords | ITAM / T細胞受容体 / チロシンキナーゼ / キメラ分子 / カルシウムイオン |
Research Abstract |
今年度はITAMを介したシグナル伝達系の詳細な解析を行った。CD3ξ分子の最も膜側のITAMであるNQLYNELNLGRREEYDVLというアミノ酸配列をヒトCD8α分子のC端側に結合したキメラ分子を遺伝子導入によってT細胞株に発現し、細胞外ドメインを抗CD8α抗体によって架橋する方法を用いてシグナル伝達系を解析した。上記アミノ酸配列内の各アミノ酸に変異を導入した一連の実験から、1個のITAM中に見られる2個のYxxLが機能的に異なることを見いだした。すなわちN端側のYxxLに変異を導入するとITAMを介した全てのシグナルが伝達されなくなるのに対し、C端側のYxxLに変異を導入した場合にはIL2遺伝子の活性化は抑制されるが、カルシウムイオンの動員やPTK系の活性化は影響を受けないことを見いだした。すなわちN端側のモチーフのみによってある程度のシグナルが伝達される。さらに、細胞質内のモチーフの数やチロシンとロイシン以外のアミノ酸の配列の違いによって、受容体の細胞外ドメインの架橋の必要性に差が出ること、すなわち受容体の感受性に差が出ることを明らかにした。上記のキメラ分子を発現している細胞は、抗CD8α抗体を加えた後に2次抗体を加えてさらに架橋を行わないと活性化シグナルが伝達されないが、3個のITAMを持つCD3ξの細胞質部位全体をもつキメラ分子を発現している細胞の場合には2次抗体なしに細胞の活性化が誘導された。また、CD3ξ分子の最も膜側のITAM1個のみを持つ場合にも、N末側のYxxL(YNEL)のアスパラギンをアラニンに置換した場合(YAEL)にも2次抗体なしに細胞の活性化が誘導された。これらの結果は受容体の細胞質内のITAMの数が多いほど感受性が高い、すなわちシグナルが伝達され易いこと、さらにITAMのチロシンとロイシン以外のアミノ酸配列も感受性に影響することを示す。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Nishizawa, K., and Koyasu, S.: "IL2 and IL7 differentially induce CD4^-CD8^-αβTCR^+NK1.1^+ large granular lymphocytes and IL4 producing cells from CD4^-CD8^-αβTCR^+NK1.1^- cells: implications for the regulation of Th1 and Th2type responses." Int.Immunol.9. 1123-1129 (1997)
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[Publications] Sunder-Plassmann, R., et al.: "Functional analysis of immunoreceptor tyrosine-activated motif(ITAM)-mediated signal transduction: the two YxxL segments within a single CD3ξ-ITAM are functionally distinct." Eur.J.Immunol.27. 2001-2009 (1997)
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[Publications] Koyasu, S., et al.: "Pre-TCR signaling components trigger transcriptional activation of a rearranged TCRα gene locus and silencing of the pTα locus: Implications for intrathymic differentiation." Int. Immunol.9. 1475-1480 (1997)
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[Publications] Ghendler, Y., et al.: "Double positive TCRhigh thymocytes are resistant to peptide/MHC ligand-induced negative selection." Eur.J.Immunol.27. 2279-2289 (1997)