1998 Fiscal Year Annual Research Report
整理活性糖鎖・硫酸化グリコサミノグリカンの構造と生合成に関する研究
Project/Area Number |
09044345
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Research Institution | Kobe Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
菅原 一幸 神戸薬科大学, 薬学部, 教授 (60154449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KHOO KayーHoo 台湾中央研究院アカデミアシニカ, 生物化学研究所, 研究員
FAESSNER And ハイデルベルグ大学, 医学部, 教授
DELL Anne インペリアルカレッジ, 理工医学部, 教授
小川 智也 理化学研究所, 理事 (30087572)
LINDAHL Ulf ウプサラ大学, バイオメディカルセンター, 教授
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Keywords | コンドロイチン硫酸 / 神経突起 / 硫酸化 |
Research Abstract |
前年度に、申請者らは、珍しい二糖単位であるD-unit[GlcA(2-O-sulfate)β1-3GalNAc(6-O-sulfate)]を含むサメ軟骨由来のコンドロイチン硫猷Dがラット脳の海馬由来の培養神経細胞に対して神経突起伸長促進活性を示すことを報告していた。また、この活性はマウス脳の未熟なグリア細胞の産生するコンドロイチン硫酸プロテオグリカンであるDSD-1-PGのコンドロイチン硫酸側鎖に対する単クローン抗体473HDによって特異的に阻害されることも見い出し、D-unitが神経突起伸長促進活性に関与している可能性を指摘していた。 本年度は、単クローン抗体473HDを固相化した樹脂をつめた抗体カラムを用いて、まず、抗体の特異性を明らかにした。そのために、コンドロイチン硫酸Dをヒドラジン処理して脱アセチル化後、^3H-無水酢酸でアセチル化し、^3H-標識したコンドロイチン硫酸Dを用いて、まず抗体カラムへの結合性を確認した。さらに、非標識のコンドロイチン硫酸Aとコンドロイチン硫酸Dを用いて阻害実験を行ったところ、前者では^3H-標識したコンドロイチン硫酸Dのカラムへの結合は前者では全く阻害されず、後者では強く阻害され、コンドロイチン硫酸Dが抗体のエピトープを含むことを明らかにした。 次に、市販のサメ軟骨由来のコンドロイチン硫酸Dを分画し、抗体に対する親和性が高い画分ほど高い神経突起伸長促進活性を示すことを明らかにした。また、抗体に対する親和性が高い画分ほどD-unitの含量も高いことも判明した。抗体カラムに結合しなかった画分は神経突起伸長促進活性を殆ど示さず、また、D-unitの含量も結合画分と比較してかなり低かった。 さらに、マウス脳から精製したDSD-1-PGをコンドロイチナーゼで分解してHPLCで分析することによって、5%のD-unitを含むことも明らかにした。このようにコンドロイチン硫酸Dの神経突起伸長促進活性にはD-unitが関与していることを強く示唆することが出来た。
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