1998 Fiscal Year Annual Research Report
蛋白工学とホログラフィック・クライオ電子顕微鏡法によるモーター蛋白質機能の研究
Project/Area Number |
09102006
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
若林 健之 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90011717)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安永 卓生 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (60251394)
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Keywords | アクチン / ミオシン / トロポニン / トロポミオシン / カルシウム / モーター蛋白質 / 電子顕微鏡 / X線結晶解析 |
Research Abstract |
ホログラフィック電子顕微鏡像再構成法により、ATP存在下での太いフィラメントの無染色凍結標本のクライオ像から三次元像を再構築した。この時、分解能を上げるため、「繰り返し法」を用いて異なる次数のベッセル項を安定に分離した。ミオシン分子が2種類(A型、B型)の立体的双頭構造をもち、ラセンをたどる時AABAABと繰り返している。 筋収縮の制御機構を決定するには、生理的溶液条件下でのトロポミオシンの位置が重要である。アクチン・フィラメントのラセン対称性からのずれを検出・補正し、多数のフィラメントの像から逆投影法で三次元像を再構成した。トロポミオシンをほぼ連続的紐状の領域として可視化し、その位置がカルシウムによって変化することを突き止めた。 アクチンの第4サブドメインに5カ所の突然変異を導入すると(QTAAS->KAYKE)、トロポミオシン結合が低下し、Ca・トロポニン・トロポミオシンの共存下でミオシンS1のATPaseをより高く活性化するようになる。この5つのアミノ酸残基の内で、高度活性化のためにはQTA->KAYの変異のみで十分であることが分かった。 X線結晶解析により、変異アクチンの構造を2Aの分解能で解き、野生型と比べたところ、導入したチロシンが水素結合によって既存のチロシンと結合することにより、疎水的領域の中に割り込み、そこにあったロイシンを外に押し出す事が分かった。 BFP/GFPを融合したミオシンS1を大量発現し、BFPからGFPへの蛍光エネルギ移動効率がヌクレオチドによって変化することを示した。エネルギ移動から割り出した距離とミオシンの結晶構造から、確率分布関数解析によりミオシンのATPによる構造変化を立体的に示した。
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Research Products
(1 results)