1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09203101
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
所 伸一 北海道大学, 教育学部, 助教授 (50133682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
園田 貴章 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (40171392)
桑原 清 北海道教育大学, 教育学部・札幌校, 助教授 (00178154)
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Keywords | ロシア / 中等教育 / 教育標準(スタンダード) |
Research Abstract |
1.本研究は、文献資料収集のほか、現地調査によって行われた。本テーマ通算3年目の今年度はノヴォシビールスクで委託調査を行い、全国と地方の動向把握において前進が得られた。 2.我々は次のような知見を得た。研究対象の柱(1)社会・経済変動と学校政策、においては(i)諸学校制度のソビエト型から市場経済対応への転換・「開放」のため、教育内容・学歴資格の全国標準の改定が試みられ、(ii)価値観の多元化と水準引上げのためエリート中等教育が推進され(リツェイ、ギムナジヤ等)、(iii)私立学校の新設は支払い能力保有層の形成の遅れのため、首都圏に偏在し、(iv)祉会全般に子どもの教育への一種「投資」の機運が生まれ、有料補習教育が盛んであること。柱の(2)諸学校の経営の変動、においては(i)政治権力の分散化の結果、地方の財政・統治力が低下し、公教育の物的基盤が危うくなっており、(ii)新教育法による諸学校の法人規定は各校の職員手当資金源確保などのために機能するにとどまり、学校教育の革新に寄与する本旨とは縁遠いこと。柱の(3)教育内容の変動、においては(i)中央における国家教育標準(スタンダード)の準備は遅れ、法的制定に至っておらず、(ii)歴史教育・教科書をめぐっては歴史清算機運の一時代を経て、「国民形成」教育への収斂の動きが現れ、(iv)学校体系における理数系教育の軽視、学力の低下、訓育面の指導放棄に対する批判が強まってきた。全体としては公教育の弱体化が生産活動と祉会秩序を維持する上でもかなり危険であるとの認識が政治指導部においても強まり、97年夏以降、再度「教育改革」の政策提起が行われた。 3.我々は以上のような成果を、学会発表(園田貴章、日本カリキュラム学会第7回大会、1997年7月)、及び北海道大学スラブ研究センター研究報告集(1997年6月)と年鑑(1998年)への寄稿の形で公表してきた。
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[Publications] 所 伸一: "ロシアの学校制度と教育観は変わったか" 北海道大学スラブ研究センター『スラブ・ユーラシアの変動:その社会・文化的諸相』. 165-180 (1997)
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[Publications] 所 伸一: "学校教育:教育の理念と現実" 『情報総覧現代のロシア』大空社. 405-408 (1998)
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[Publications] 桑原清: "生涯教育" 『情報総覧現代のロシア』大空社. 418-420 (1998)
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[Publications] 園田貴章: "ロシアにおける体制変動と国家教育標準の編成" 北海道大学スラブ研究センター『スラブ・ユーラシアの変動:その社会・文化的諸相』. 181-194 (1997)
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[Publications] 園田貴章: "学校教育:国家カリキュラムの編成と問題点" 『情報総覧現代のロシア』大空社. 408-411 (1998)