1997 Fiscal Year Annual Research Report
文化人類学における家族・親族領域を中心とするフィールドデータの処理と分析
Project/Area Number |
09204101
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 雅一 京都大学, 人文科学研究所, 助教授 (00188335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱崎 修平 倉敷芸術科学大学, 芸術学部, 助教授 (70279024)
窪田 幸子 広島大学, 総合科学部, 助教授 (80268507)
杉藤 重信 椙山女学園大学, 人間関係学部, 教授 (70206415)
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Keywords | コンピュータ / 文化人類学 / 家族 / 親族 / データベース / フィールドワーク |
Research Abstract |
本研究の目的は、文化人類学的なフィールドワークによつて得られる多様なデータをパーソナルコンピュータをもちいてフィールド現地で一次処理するための支援ツールを開発することにある。本研究の研究者が対象としている社会(オーストラリア・アボリジニ、南インドやスリランカのタミール)では、個々人がどのように親族ネットワークに関連づけられるかがとりわけ重要である。特定の集団に帰属していることにくわえて、個人と個人の関係性が焦点となる。個人の家族関係・親族関係を記録してゆくと、またたくうちに、関係が重複して読みとりが困難になってゆく。特定の個人と個人を指定すると、両者の関係が明らかになり、両者を含む家族(あるいは親族)集団が家系図のような具体的なイメージをむすぶ姿で表示できないだろうか。さらに、フィールドの現場で、ノートを取るような手軽さでそうした作業を実現できないであろうか。3年目を迎え、ツールも完成間近ではあるが、なお未解決の問題点が様ざま存在することがわかってきた。たとえば「最適化」の問題である。複雑な親族関係を、モニタに視覚的に理解可能な大きさで映し出し、同時、に輻輳する関係・(親子・キョウダイ・配偶の諸関係)をできる限り交差することなく表示しなければならない。しかも、必要となる親族空間の大きさはあらかじめ限定することはできないのである。現在取り扱おうとしているコミュニティー・データは、3700名あまり、4-5世代にわたる。これらの人々は,かれらの親族システムの中で何らかの関係を持っているのである。次年度以降の新しいバ-ジョンでは、こうした「最適化」の問題や表示範囲の問題、カテゴリカルな親族関係の取り扱いなど、検討を要する課題も多い。
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[Publications] 杉藤重信: "町の中もブッシュ、そして町がブッシュにやってきた(ア-ネムランドの狩猟採集民)" 佐藤浩二編「住まいをつむぐ」学芸出版社. 71-88 (1998)
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[Publications] 杉藤 重信: "アウトステーション運動了の後-オーストラリア・アボリジニの現在" 季刊 リトルワールド. 64. 3-4 (1997)
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[Publications] 窪田 幸子: "親族の基本構造を生きる-「ムルンギン」の現在" 青木保他編「岩波講座文化人類学4個からする社会展望. 159-196 (1997)
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[Publications] Kubota,Sachiko.: "Aboriginal Womon and the Monetary Economy" Man and Culture in Oceania. 12. 87-101 (1997)
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[Publications] TANAKA,Masakazu: "Patrons, Devotels and Goddesses : Ritnnl and powen amory the Tamirl Fisher" Manohar (New DeRin), 228 (1997)