1997 Fiscal Year Annual Research Report
オーストラリア・アボリジニ絵画データベースの構築と応用
Project/Area Number |
09204116
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Research Institution | National Museum of Ethnology |
Principal Investigator |
久保 正敏 国立民族学博物館, 第5研究部, 助教授 (20026355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪田 幸子 広島大学, 総合科学部, 助教授 (80268507)
細川 弘明 佐賀大学, 農学部, 助教授 (70165554)
杉藤 重信 椙山女学園大学, 人間関係学部, 教授 (70206415)
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Keywords | 絵画データベース / 先住民芸術 / 神話 / 精神文化 / 観光開発 / 文化創造 |
Research Abstract |
オーストラリア・アボリジニの絵画は、展覧会、画集など介して非アボリジニ社会に流通するが、そこで取り上げられるモチーフや描法は、非アボリジニ社会の「対アボリジニ観」の反映である。それがまたアボリジニ社会へフィードバックされ、絵画に変容を引き起こしている。この相互作用を明らかにするために、オーストラリアの展覧会、図録、論文、画集などに掲載されている絵画のデータベースを作成する。以上の目的に沿って、まず民博所蔵の画集96冊に対するデータ入力およびフォトCD化を行った。各画集に掲載されている絵画に対して、作者名、その出身地域、所属クラン名、絵画のタイトル、モチーフ、所有者、メディア(画材および絵の具)、およびコメント、から成るデータを逐一作成した。総データ件数は約6000に達した。現在は、データ重複チェックを行っている。 この作業の終了次第、結果を編集・分解し、(a)制作者データベース:絵画の制作者に関わる属性情報(名前、生年、地域、所属クラン、そのクラン固有の神話と精霊)(b)固有情報データベース:絵画固有の造成属性(モチーフ、描法、描かれている動植物等)、(c)引用情報データベース:絵画固有の属性情報(展覧会名、原所蔵機関または所有者、画集や論文名、図録や論文の編著者とそのバックグラウンド、絵画タイトル)、の3 本研究の最終目的は、アボリジニ文化に対するイメージの相互作用の解明である。そのためには、上記の3データベースを完成し、それを検索・分析できる環境を整える必要がある。現段階は、そのデータベースを作成するための前段階がようやく出来上がったに過ぎない。当初の予定よりも研究の進捗状況は遅れてはいるものの、今後は、目標とするデータベースの完成を急ぐとともに、イギリスやアメリカ、カナダなど英語圏についても資料収集を拡大して、各国における対先住民意識の差異に関しても分析を深めたい。
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[Publications] 久保 正敏: "オーストラリア・アボリジニ絵画の画像データベース" 人文学と情報処理. 14. 42-48 (1997)
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[Publications] 杉藤重信: "アウトステーション運動その後:オーストラリア・アボリジニの現在" リトルワールド. 64. 3-4 (1997)
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[Publications] 細川弘明: "先住権のゆくえ-マボ論争からウィック論争へ-" 西川・渡辺・マコ-マック(編)多文化主義・多言語主義の現在-カナダ・オーストラリア・そして日本-. 177-199 (1997)
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[Publications] 窪田幸子: "親族の基本構造を生きる-「ムルンギンの現在」-" 岩波講座 文化人類学 第4巻 個からする社会展望. 159-196 (1997)