Research Abstract |
本研究では,日本語教育用辞書に適切な用例を増補するために,用例の適切性を数量的に解析することを試みた。具体的には,CASTEL/Jの「用語辞書データベース(約7千語)」を数量的に解析し,日本語教育用辞書の用例の特徴を明らかにした。その結果,日本語教育用辞書の特徴として,用例の文字数は平均19.7字(最小4字,最大86字),文字の構成比は,漢字24.3%,ひらがな65.0%,カタカナ1.9%,用例の単語数は,平均10.1語(最小2語,最大48語),異なり単語数は,6415語(「は」「の」「を」「が」「に」の順)であった。 次に,CASTEL/Jの「教材テキストデータベース(本,新聞,教科書,台本等,約90冊,約16万の文」から,適切な用例として日本語教育用辞書に増補可能な文を抽出した。CASTEL/Jの教材テキストデータベースには,新書・ブルーバックス等の本が,50冊(約2000文/冊)と映画台本40冊(約1500文/冊)が電子化されており,文の合計は約16万文になる。この中から,日本語教育用の用例として適切なものを抽出し,用例データベースに増補した。 最後に,電子化された既存の文をベースに,コンピュータを用いて,学習者の特性(文化圏,学習目標,既有知識量,理解特性等)に合致した,適切な用例を生成する試みを行った。今後の課題は,適切な用例の評価を日本語教育の研究者・実践者と日本語学習者を対象に行うことである。
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