1997 Fiscal Year Annual Research Report
地方政府による社会保障関係支出のミクロデータの収集と国際比較分析
Project/Area Number |
09206208
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齋藤 慎 大阪大学, 経済学部, 教授 (70093565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 英雄 近畿大学, 商経学部, 教授 (40155651)
橋本 介三 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 教授 (00033176)
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Keywords | 社会保障 / 社会福祉費 / 基準財政需要額 / ILO基準 / ミクロデータ |
Research Abstract |
地方が行う福祉支出において、いくつかの異なる概念規定が主張されているが、ILO基準を手がかりとして考察し、地方政府の超過負担や単独事業などが含まれないなどの問題点を整理した。この問題意識の下で、地方政府の行う社会保障関係支出のミクロ・データについて、日本では地方交付税算定ベースである基準財政需要額との対比において実証的な分析を行った。また、イギリスについては、同様に日本の基準財政需要額に相当する標準支出額を基準としてこれとの乖離を分析した。 日本のミクロ・データを用いた分析においては、かなりの歳出項目で基準財政需要額とそれほど乖離しない形で歳出が行われているのに対して、本研究で対象とした地方政府の行う社会保障関係支出はかなり乖離の程度が大きいという興味あるファクト・ファインディングが得られた。さらに、得られたミクロ・データの乖離を示すデータから、社会福祉費については、公立保育所比率、教員一人当たりの児童数および人口規模などのミクロ的な要因から説明が可能であることが統計的に検証された。同様に、高齢者保健福祉費についても、人口規模などのミクロ的な要因が重要な説明変数になることが明らかとなった。また、イギリスのミクロ・データについても日本と類似した形で分析を行える可能性があることが明らかとなった。 しかし同時に、ミクロ・データを用いた分析から、これまでのマクロ的なデータでは明確とならなかった問題点も明らかにされた。それは、地方政府のすべての支出が「インプット」で測定されているため、行政が直接サービスを供給しているのか否かといった行政の形態に依存して経費が規定されてしまい、「アウトプット」が明確には把握できないという問題が明らかとなった。
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