1997 Fiscal Year Annual Research Report
助数詞の獲得を支える言語的環境-日本語と中国語における母子相互交渉の比較
Project/Area Number |
09207204
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
仲 真紀子 千葉大学, 教育学部, 助教授 (00172255)
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Keywords | 言語獲得 / 助数詞 / 母子対話 / 幼児(2,3,4歳) / 中国語 / 北京語 / 国際比較 |
Research Abstract |
仲は日本人幼児が養育者との対話の中でどのように助数詞を用いているかを調べ、(1)2歳児でも「個、つ」などの一般的な助数詞を用いていること、(2)3歳から4歳になるにつれ「枚、本、杯」などの固有な助数詞の使用が増えること、(3)母親は大人に対しては一貫して固有な助数詞を用いるが、子に対しては年齢に応じて一般的な助数詞を序々に減らし、固有な助数詞を増やしてゆくことなどを示した。他の助数詞言語においても、一般的な助数詞から固有な助数詞へという言語的入力の変化が見られるのだろうか。また幼児が助数詞を獲得する初期の段階では、母親は用いる助数詞の数を限定しているのだろうか。これらのことを検討するため、中国語(北京語)における助数詞の獲得過程を検討した。対象は北京市在住の2、3、4歳児とその母親または父親、それぞれ17、16、18組である。研究1では日本における調査と同様、ビスケットやアメをやりとりするという日常場面を設定し、母親の子に対する助数詞使用、子の助数詞使用、母親の大人に対する助数詞使用を検討した。また研究2では、生物に対しても一般的助数詞が用いられるか否かを検討するため、図版に描かれた動物を子に数えてもらった。筆記資料を分析した結果、研究1、2ともに(1)日本語に比べ固有な助数詞の使用が多く、特に子が使用している固有な助数詞の種類は(誤りを含め)母親の固有な助数詞よりも多いこと、しかし(2)子の年齢が低いほど母親は一般的助数詞「個(ge)」を多く使用することが示された。今後、対話資料をもとに詳細な分析を行いたい。
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[Publications] 仲 真紀子: "認知発達・言語環境、そして文化-助数詞の獲得をめぐって" 千葉大学教育学部研究紀要. 45・1. 1-8 (1997)
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[Publications] 仲 真紀子: "大学生は何種類の助数詞を知っているか" 教育心理学会第39回総会発表論文集. 47-47 (1997)
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[Publications] 仲 真紀子: "最近の発達心理学の動向と課題-発達観について-" 地域保健. 6・7月号. 5-12 (1997)
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[Publications] 仲 真紀子: "母子対話における助数詞の獲得-中国語(北京語)の場合" 平成9年度科学研究費成果報告書「心の発達」. 180-189 (1998)
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[Publications] 仲 真紀子: "目撃証言の信頼性に関わる要因" 基礎心理学研究. 印刷中. (1998)
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[Publications] Naka,M.: "Repeated writing facilitates children's memory for letters and character" Memory & Cognition. (印刷中). (1998)
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[Publications] 仲 真紀子: "早期教育の諸問題(3)in「認知・言語の成立-人間の心の発達」" クバプロ, 178(158-164) (1997)
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[Publications] 仲 真紀子: "会話の発達他3章 in 内田(編)「言語発達心理学」" 放送大学教育振興会, 200(27-36、135-175) (1998)