1997 Fiscal Year Annual Research Report
新奇な概念の形成と共有化における命名の機能に関する研究--幼児に親しみやすい人工概
Project/Area Number |
09207227
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
高木 和子 立命館大学, 文学部, 教授 (90091834)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川端 康弘 立命館大学, 文学部, 助教授 (30260392)
土田 宣明 立命館大学, 文学部, 助教授 (40217328)
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Keywords | 概念 / 概念形成 / 命名 / 人工概念 / 幼児 / 共有化 |
Research Abstract |
幼児を対象にして新奇な概念の形成の際に生じる情報処理過程と,概念の共有化過程でのラベルの利用が,命名という概念特性をともなった行動に至る過程を人工概念空間を用いて明らかにすることが本研究の目的である.研究の3つの柱ごとの本年度の成果は以下の通りである. (1)ジオンを用いた新しい人工概念空間を幼児用に利用可能にするための手続きの精緻化に関わるもの.ここでは,これまで開発してきた画像処理ライブラリや,シュミレーションプログラムをマルチメデア対応のコンピュータに移植するための試作を行った.特に,これまでの概念形成課題では扱うことが非常に困難であった,「動き」(3次元空間の移動,回転)を伴った刺激の開発を行った.(2)人工概念空間を利用して概念の形成過程における抑制の機能を明らかにする方法を確立するもの.ここでは,実験に用いる,幼児を対象にした刺激の標準化,特に適切次元の組み合わせによる概念の発見課題を,利用するかどうかについての予備調査を実施した.(3)2人による概念形成の共有事態における命名の出現過程の分析を行うもの.ここでは,これまでの予備的な研究で用いられてきた人工概念空間を利用して,2人による自由分類を実施し,その過程で,刺激の弁別のためにいくつかのラベルが自発されることが明らかにされた. これらの予備的研究の成果から,幼児の2人場面における概念形成課題に必要な条件が明らかにされたので,今後は新たなる人工概念空間を作成し,2者間で自発されたラベルが他者への伝達を意図して用いられるようになるまでの過程を分析したい.さらに,自発されたラベルが他者への伝達場面で用いられるときには,「名前」としての概念性の成立が前提になっているのかどうかを検討したい.
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[Publications] 高木和子・土田宣明・川端康弘・小川徳子: "新奇な概念の形成と共有化における命名の機能に関する研究" 平成9年度重点領域研究「心の発達・認知的成長の機構」研究成果報告書. 56-62 (1998)
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[Publications] 高田薫・小川徳子・高木和子: "幼児による新奇な事例の自由分類-単独分類と共同分類の比較" 日本教育心理学会第40回総会発表論文集. (印刷中).