1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09208101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小泉 格 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20029721)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 隆治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (30143366)
安田 喜憲 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (50093828)
町田 洋 東京都立大学, 理学部, 名誉教授 (10087009)
南川 雅男 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (10250507)
大場 忠道 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 教授 (60013588)
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Keywords | 最終氷期 / 酸素同位体比 / 鬼界カルデラ / 対馬海峡 / 土井ケ浜人 / 栽培植物 / 山下町第一洞人 / 血球カリウム遺伝子 |
Research Abstract |
小泉:津軽海峡南西部から採取した2本の海底堆積物コア中の珪藻群集から最終氷期以降の環境変動を復元して、ハインリッヒイベントとの対応を試みた。さらに津軽海峡の陸橋化を論じた.大場:日本海隠岐堆からの海底コア中の有孔虫殻の酸素同位体比を詳細に測定し、35,000〜29,000年前と12,000〜8,000年前の日本海表層水温は5±3°C、29,000〜12,000年前の最終氷期極相期は有孔虫殻が産出しない、6,000年前以降は11.3〜13.7°Cである.町田:7,300年前の鬼界カルデラ大噴火に伴って大地震と大規模な津波が発生したことを明らかにし、各種の自然災害が当地の縄文人に大打撃を与えたとした.多田:最終氷期極相期(12,000〜24,000年前)における対馬海峡および津軽海峡の水深変化を日本海海水の塩分収支モデルから計算して、対馬海峡の敷居水深は10±10mまで低下し海峡の幅は15kmまで狭まり、19,000年前頃のごく短い期間に陸橋が成立した可能性があるとした.南川:土井ケ浜人は肉や魚などを利用した関東地方の縄文人と同程度の植物資源の利用割合であった.C4植物(ヒエ、アワ)の利用の証拠は認められなかった.佐藤:縄文時代中期に稲が渡来した後、北上し3,000BPに東北北部に達した.日本列島周辺には栽培植物の回廓が3つ存在する.松浦:山下町第一洞人の年代32,000BPは現代型ホモサピエンスの起源と拡散に関わる40,000〜100,000年前に近い.縄文時代人的特徴を持つ更新世人類化石の年代は18,000BPを超えない.河村:第四紀層とそこから産出する哺乳動物化石の調査研究を行った.田名部:血球カリウム遺伝子(HK)は朝鮮半島の犬群では認められるが、琉球犬や東アジア犬には見当たらないので、南方からこの遺伝子が日本犬に入ったことはない.
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 南川雅男: "同位体で調べる古代人の食性" SUT Bulletin. 4. 3-9 (1997)
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[Publications] 町田洋ら: "大峰火砕流堆積物:北アルプス形成史研究のための-指標テフラ" 地学雑誌. 106・3. 432-439 (1997)
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[Publications] 中川良平: "福岡県平尾台不動洞から産出した第四紀の哺乳類化石" 洞窟学雑誌. 22. 43-54 (1997)
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[Publications] 田名部雄一: "日本犬の起源に関する考察" 獣医畜産新報. 51・1. 9-14 (1981)
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[Publications] 小泉 格: "地球環境を語らずしてヒトの移動は語れない" 歴史街道. 10. 120-123 (1997)
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[Publications] 多田隆治: "最終氷期以降の日本海および周辺域の環境変遷" 第四紀研究. 36・5. 287-300 (1997)
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[Publications] 町田 洋: "世界の火山地形、貝塚爽平編「世界の地形」" 東京大学出版会, 372 (1997)