1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09208104
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas
|
Research Institution | National Museum of Nature and Science,Tokyo |
Principal Investigator |
馬場 悠男 国立科学博物館, 人類研究部, 部長 (90049221)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 信太郎 東京大学, 理学系, 助教授 (20143357)
青木 健一 東京大学, 理学系, 教授 (30150056)
宝来 聰 国立遺伝学研究所, 総合遺伝, 助教授 (40126157)
茂原 信生 京都大学, 霊長類研究所, 教授 (20049208)
百々 幸雄 東北大学, 医学部, 教授 (50000146)
|
Keywords | 人骨形態 / 遺伝特徴 / ミトコンドリアDNA / HLA / 縄文人 / 渡来弥生人 / アイヌ / 古病理 |
Research Abstract |
まず、検証対象である「現代日本人の起源に関する二重構造モデル」の内容に直接関連する点を略記する。化石形態からは、港川人は東南アジア化石と似ているが東南アジアに由来するとはいえない(馬場)。頭蓋非計測的特徴分析では、縄文人の直系子孫とみなせるアイヌは東南アジア住民ではなくバイカル湖やアムール川付近の住民と似ている(石田)。縄文人が琉球人に移行したかどうかは、頭蓋非計測特徴では否定的結果が出ているが(百々)、近隣の人骨との比較では琉球人の由来に関してはまだ分からない(土肥、松下)。本土日本人の主体をなす渡来弥生人の原郷に関しては、現代人のミトコンドリアDNA分析(宝来)やHLA分析(徳永)では広く中国大陸朝鮮半島であることは肯定的だが、古人骨DNA分析では狭く山東省住民とすることは否定的である(植田)。 つぎに、分析方法の改良あるいは独特の視点から全体研究を補強する面では、以下の研究が着実な成果を上げている。DNA分析の精度向上によって、古人骨の個人鑑別が可能になりつつある(三沢)。人骨の三次元データにより、顔面形態の変異を面積や体積の変化から分析することができた(茂原)。DNA塩基配列から系統ネッワークを構築する際のプログラムの大幅な改良がなされた(斉藤)。弥生時代の人口動態解析理論を、諸条件を加味して農耕の伝搬速度解析に応用した(青木)。頭蓋進化傾向の多変量解析により、頭蓋の各部が特定の相関を持って変化することが分かった(溝口)。縄文人のストレスマーカーとなる病理的変化から、縄文人の生活状態が均質であることを明らかにした(鈴木)。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Ishida H and Dodo Y: "Cranial variation in prehistoric human skeletal remains from the Marianas" Am.J.Phys.Anthropol.104. 399-410 (1997)
-
[Publications] Suzuki,T.: "Indicators of stress in Prehistric Jomon Skeletal Remains in Japan" Anthrop.Sci.(1998)
-
[Publications] Hammer M.F., Jenkins T., Horai S. 他: "The geographic distribution of human Y chromosome variation" Genetics. 145. 787-805 (1997)
-
[Publications] Tokunaga K, Ishikawa Y.: "Sequence-based association analysis of HLA class I and II alleles in Japanese supports conservation of common haplotypes" Immunogenet. 46. 199-205 (1997)
-
[Publications] Omoto K.and Saitou N.: "Genetic origins of the Japanese : A partial support for the “dual structure hypothesis"" American Journal of Physical Anthropology. 102・4. 437-446 (1997)
-
[Publications] Ishida,H.: "Craniometric variation of the Northeast Asian populations" Homo. 48. 94-112 (1997)
-
[Publications] 馬場悠男: "イミダス特集 人類の起源" 集英社, 116 (1997)
-
[Publications] 宝来 聰: "DNA人類進化学 岩波科学ライブラリー (52)" 岩波書店, 120 (1997)