1997 Fiscal Year Annual Research Report
高圧下における分子性液体の構造緩和に関する熱力学的研究
Project/Area Number |
09212220
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松尾 隆祐 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00028185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山室 修 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (20200777)
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Keywords | ガラス状態 / ガラス性結晶 / 熱測定 / X線散漫散乱 / ミアノアダマンタン / アダムギブス理論 / 低エネルギ励起 / ボゾンピーク |
Research Abstract |
ガラス状態の一形態として、ガラス性結晶なるものがある.これは結晶ではあるが同時にガラス状態でもあるという特異な状態である.そこでは分子の重心が規則的に結晶格子をなし、各格子点にある分子が幾通りもの配向をもつ.ガラス性結晶の典型と考えられるシアノアダマンタンの緩和現象を熱測定とX線散漫散乱によって、短距離秩序発達の過程を研究し、緩和時間の温度依存性についてアダム・ギブズ理論を適用した.また高圧下でエンタルピー緩和と体積緩和を同時に測定する装置を完成させ、幾つかの物質について体積がエンタルピーより速く緩和することを見出した.ガラスの振動状態について分子性ガラスを中性子非弾性散乱法で研究し、ボゾンピークの起因について明瞭な結果を得た.すなわちブロピレンやプテンを蒸着して得られる非晶質の熱容量と中性子散乱の実験から分子性非晶質における低エネルギー励起状態は1分子あたり1.5自由度もの大きい寄与をすることが明らかとなり、従来言われていた「fragileなガラスは低エネルギー励起をもたない」という定説を完全に覆す結果を得た.この結論はトルエンやエチルベンゼンなどのかなり特性の異なる分子性ガラスにも当てはまる一般的なものである.低エネルギーには強度に加えて、どのような大きさのエネルギーが過剰に寄与するかという問題がある.これまでに得た結果を、慣性モーメントの平方根対低エネルギー励起ボゾンピークエネルギーというプロットにまとめることにより、直線関係を得た.この結果は低エネルギー励起の起因が分子の回転的振動あることを示すものである.
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Anna Lindqvist: "Excess heat capa aties due to the low-energy" Journal of Chemical Physics. 107(13). 5103-5107 (1997)
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[Publications] Itaru Tsukushi: "Construction of a top-loading adiabatic Calorimeter" Review of Scientific Instruments. 69(1). 179-184 (1998)
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[Publications] Shuichi Takahara: "Development of an adibaitic calorimeter for・・・" Review of Scientific Instruments. 69(1). 185-192 (1998)
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[Publications] Osamu Yamamuro: "Lowenergy excitations in Simple molecular glasses" Progress of Theoretical Physics.Supple126. 126. 93-96 (1997)
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[Publications] Itaru Tsukushi: "Struclural Relations and Thermodymamic Properties" Progress of Theoretical Physics Suppl.126. 89-92 (1997)
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[Publications] Kiyoshi Takeda: "Entropy-theoretical analysis of Glass transitions in・・・・" Progress of Theoretical Physics,Suppl. 126. 83-87 (1997)