1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09214102
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
熊澤 慶伯 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60221941)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 智生 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80037233)
西田 睦 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (90136896)
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Keywords | 生命と地球の共進化 / 古生代・中生代 / 真骨魚類 / スズキ目 / ミトコンドリアDNA / 化石記録 / 適応放散 / 海洋環境変動 |
Research Abstract |
スズキ目を主体とした14種の真骨魚類と2種の全骨魚類について、ミトコンドリアDNAにコードされるcytb遺伝子及びND2遺伝子の塩基配列を決定した。南米とアフリカの淡水性カワスズメ類の系統分岐時期と両大陸の分離年代(100Ma)が概ね一致するとの合理的な仮定のもとに、両遺伝子のアミノ酸配列(計728座位)に基づき上記魚類の分岐年代を推定した。その結果、真骨魚類の目間の分岐は三畳紀にまでさかのぼる、スズキ目の科間の分岐はジュラ紀から白亜紀初頭にまでさかのぼる、ことが示唆された。化石記録によれば、真骨魚類の目レベルの多様化は白亜紀に、スズキ目の科レベルの多様化は主としてK/T境界から始新世初頭までの短い期間に集中して起きたことが示唆されている。本研究で分子データから得られた分岐年代は、これら化石記録の出現時期をいずれも大幅に上回る。従来の古生物学では、多様化した化石の初出現時期がそれら系統間の分岐年代にほぼ等しいと解釈されてきたが、この解釈では本研究の結果を説明できない。そこで我々は、化石記録の出現時期は個体数(種の適応度)の急激な増加あるいは生息環境(化石の堆積場所)の変化が起きた時期と捉えるべきであり、それは必ずしも生物系統が適応放散した時期を表すものではない、という挑戦的な仮説をたてることにした。恐らく真骨魚類は激しい海洋環境変動が起きたP/T境界の前後で目レベルの多様化を既に遂げており、ジュラ紀/白亜紀境界付近でスズキ目の科レベルの多様化も起きていた。しかし、中生代を通じて真骨魚類は既存の魚類(全骨類等)のニッチを奪うことができず、K/T境界後に多量に化石記録が認められるようになるまでどこかでひっそりと生き延びていたのであろう。我々の化石記録の新解釈に一般性があるとすれば、専ら化石記録に基づいて構築されてきた顕生代の生物進化史は分子系統学によって大幅に改訂される可能性も考えられる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Miya,M et al.: "Speciation in the open ocean" Nature. 389. 803-804 (1997)
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[Publications] Nishida,M.: "Phylogenetic relation ships and evolution of Tanganylkan cichlids:A molecular perspective.In "Fish communities in Lake Tenganyika"." Kawanabe,H.et al.(eds.) Kyoto Univ.Press, 3・23 (1997)