1997 Fiscal Year Annual Research Report
イオンビーム解析によるイオン電導性酸化物内プロトンの電導機構の研究
Project/Area Number |
09215202
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山口 貞衛 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80005892)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高広 克己 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80236348)
永田 晋二 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (40208012)
|
Keywords | イオン電導性酸化物 / SrCeO_3 / イオン輸率 / プロント電導度 / 水素イオン拡散係数 |
Research Abstract |
ペロブスカイト型酸化物中の水素イオンの高速移動現象を利用して水素ガスセンサーや水素燃料電池などのへ応用を図るためには、電位勾配により駆動され導電性酸化物中を移動する水素イオンの速度や電荷の輸送におけるイオン輸率などに関する情報が必要である。本研究では、イオンビーム解析により、水素または重水素をドープした水素イオン導電性固体中の水素および重水素イオンの電位勾配による移動を調べ、水素イオンの移動速度やイオン輸率を求めることを研究の目的とする。 SrCe_<0.95>Yb_<0.05>O_3円板状ペレット(直径:16mm、厚さ:1.5mm)に水素イオンまたは重水素イオンを約5mo1% 収蔵させたものを試料とした。この試料ペレットの両面には(重)水素を捕捉すると同時に電極としても使用する目的で160nm厚さのZr膜がスパッター蒸着されている。種々の温度の試料に直流電圧を印加して試料中を流れる電荷量とZr電極内部に蓄積している水素をイオンビーム解析により測定した。 試料に直流電流を流すと陰極側電極中の水素量が増加した。これより、SrCeo_3中の水素イオンは電位勾配により駆動されて陽極側から陰極側へ移動することが明らかになった。陰極内に蓄積した水素量は電流量の増加にほぼ比例して増加し、また試験温度が高いほど蓄積水素量は多い。電気伝導におけるイオン伝導の寄与を知るために、試料中を流れる電流と試料中の水素イオンの流束との比からイオン輸率を求め、全電気伝導度から電子的伝導度とイオン的伝導度を分離してSrCeO_3の伝導機構を考察した。室温から60C°の温度範囲では電子伝導が支配的であり、60C°から110C°迄の温度範囲は両者の混合伝導、また、110C°以上の温度ではイオン伝導が支配的であることが判った。更に、各温度で水素イオンの流速を求め、水素イオンの拡散係数を評価した。
|