1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09216211
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
八尾 誠 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70182293)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永谷 清信 京都大学, 理学部, 教務職員 (30273436)
|
Keywords | カルコゲン / マイクロクラスター / X線吸収分光 / 全電子収量法 / 全イオン収量法 / 光電子光イオン同時計数 / 多価イオン / クーロン爆発 |
Research Abstract |
我々は、12.65keVにK吸収端をもつセレンを研究対象として、クラスタービームのXAFS(X-ray Absorption Fine Structure=X線吸収微細構造)測定のための実験技術開発を行った。セレンは鎖状構造や環状構造など多様な原子配列のトポロジーを持つことが知られている。また、超音速ジェット・ノズルから噴出されるセレン・クラスターのサイズ分布が、クラスター源の温度を変えることにより制御することができるという利点をもっている。我々は、生成物の大部分がSe_2分子になるように、クラスター源の温度を高温に保って実験を行った。クラスタービームはスキマ-を通って分析室へと導かれ、垂直に入射したX線ビームと交差する。なお、実験は、物質構造科学研究所放射光施設のビームラインBL12Cを利用して行った。XAFS計測法として、TEY(Total Electron Yield=全電子収量)法とTIY(Total Ion Yield=イオン収量)法を採用した。吸収係数は吸収端でジャンプし、その後に明瞭な第一ピークと非対称で小さい第二ピークが見られた。このスペクトルは、鎖状構造あるいは環状構造をもつセレンのXANESとは大きく異なり、Se_2分子から構成される高温のセレン気体のXANESスペクトルと酷似している。即ち、ねらい通りにSe_2分子によるX線吸収が観測されたと考えることができる。 さらに、光電子と光イオンの同時計数法(Photoelectron Photoion Coincidence=PEPICO)による測定を行い、Se_2分子のX線吸収に対する安定性についても検討を加えた。その結果、X線吸収によりK殻にホールをもったSe^+_2が生成され、オージェ電子放出による電子緩和過程およびクーロン爆発を引き起こして、種々の多価イオンSe^+_n(n=1〜7)に至ることを示唆するデータが得られた。
|
Research Products
(7 results)
-
[Publications] 八尾 誠: "Quasielastic Neutron Scattering of Liquid A2X2 (A : Chalcogel,x : Halogen)" J.Phys.Soc.Jpn. 66. 3115-3119 (1997)
-
[Publications] 岡田一夫: "Microwave Spectroscopy of Supercritical Water" J.Chem.Phys.107. 9302-9311 (1997)
-
[Publications] 八尾 誠: "超臨界水の誘電緩和測定" 高圧力の科学と技術. 6. 209-215 (1997)
-
[Publications] 八尾 誠: "Dielectric Relaxation in Supercritical Water" The Review of High Pressure and Science and Technology. 7(印刷中). (1998)
-
[Publications] 大政義典: "Pressure-Induced Phase Transition in Te-Se System" The Review of High Pressure and Science and Technology. 7(印刷中). (1998)
-
[Publications] 八尾 誠: "カルコゲン・マイクロクラスターの構造と安定性" 超微粒子とクラスター懇談会第一回研究会講演集. 21-23 (1997)
-
[Publications] 八尾 誠: "Landolt-Bornstein,New Series III/41,Chap.9.1 IAx-Iby Compounds" Springer Verlag (Berlin)(印刷中),