1997 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸基を有する生体分子の金属酸化物基板上での配向集積化と超構造形成への展開
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09217241
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
篠原 寛明 岡山大学, 工学部, 助教授 (60178887)
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Keywords | 配向集積化 / リン酸基化合物 / 酸化チタン / フラビン補酵素 / 混合吸着 / バイオセンシング / 分子組織化界面 / 酵素活性制御 |
Research Abstract |
本研究では、リン酸基を有する生体機能分子のアナタ-ス型酸化チタン表面における配向吸着現象に着目し、新しい分子アセンブリー法の開発へ展開し、機能性分子膜界面の作製へ応用することを目指して研究を進めた。そして平成9年度には次のような成果を得た。 (1)フラビン補酵素を吸着させた酸化チタン基板の高感度反射FT-IRスペクトル測定を行い、リン酸基部位による配向吸着を分光法からも確認した。 (2)ヌクレオチドやアルキルリン酸を酸化チタン電極基板上に集積化させ、その単分子膜の液中に存在する酸化還元物質に対する電子移動バリア機能について電気化学的に検討し、長鎖のアルキルリン酸がバリア機能を発現することを明らかにした。 (3)フラビン補酵素とヌクレオチドの酸化チタン表面にける混合吸着特性を検討し、集積単分子膜中のレドックスサイトとしての補酵素密度を混合吸着により制御できることを示した。 (4)フラビン補酵素を配向吸着集積化した酸化チタン電極が、NADHの電気化学触媒酸化能を有することを利用して、NADH依存性のデヒドロゲナーゼを測定電解液中に添加して基質添加時のNADH触媒酸化電流を測定することによって、酵素基質のアンペロメトリックバイオセンシングを実現することに成功した。 (5)酸化チタン電極基板上にフラビン補酵素を混合集積化した後、補酵素へのアポ酵素の再構成を行わせて生体分子の超構造形成を行い、酵素触媒反応の電子移動制御を試み、期待される良好な結果を得た。 以上のように本年度は、フラビン補酵素、ヌクレオチド、アルキルリン酸など多様なリン酸基化合物の酸化チタン基板上での配向吸着特性および混合吸着による機能制御の可能性を明らかにし、酵素蛋白質との組織化による界面機能化まで実現できた。
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[Publications] H.Shinohara, M.Ishii, M.Sisido: "Oriented Adsorption of Flavin Coenzymes on Titanium Dioxide Electrodes and Its Sensor Application" Proceedings of The 1st SANKEN International Symposium. 142-143 (1998)