1997 Fiscal Year Annual Research Report
光誘起スピンクロスオーバー格子の構築による動的電子機能創製
Project/Area Number |
09217248
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
北川 進 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20140303)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 満 東京都立大学, 大学院・理学研究科, 助手 (80254142)
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Keywords | 金属錯体集積体 / ルテニウム錯体 / 二核錯体 / 一次元ポリマー / 光誘起格子 |
Research Abstract |
ジオキソレン配位子はそのπ軌道がルテニウムイオンのd軌道と近いことから、分子内の電荷移動が極めて容易に起こりうることが知られている。本研究では、集積構造の基本素子であり、平面型のルテニウム錯体の合成を行い、更に、それらを集積化させることにより、光励起により伝導電子と磁性電子が同時に影響される新しい光誘起格子の構築を行った。酢酸ルテニウムと4当量のテトラクロロカテコール、8当量の水酸化ナトリウムをTHF中で反応させ、Ru_2(5+)中心を持つ二核錯体、Na_3[Ru_2(Cl_4Cat)_4](thf)(1)、を紫色微結晶として得た。この二核錯体の各々のルテニウムには二つのカテコラートが同じ平面上からキレート配位し、ルテニウム間距離は2.273(1)Åで直接結合があることが分かった。この錯体1をAgClO_4で酸化することによりRu_2(6+)中心を持つ錯体、Na_3[Ru_2(Cl_4Cat)_4](thf)(2)を得ることに成功した。この錯体1と同様ルテニウム-ルテニウム結合を持ち、かつその距離は2.2233Åで1よりも短くなっていることが分かった。これは異なる二つの酸化状態に於いて、その構造を比較検討できた非架橋型ルテニウム錯体の最初の例であり、Ru_2(6+)の方が強い金属一金属結合を生成することを示した初の例である。この2核(5+)錯体をピラジン(pyz)、あるいはテトラジン(tz)と反応させ、トリス型ルテニウム錯体がpyz、(あるいはtz)で連結された一次元ポリマー、Na_2[Ru(Cl_4Cat)_3(pyz or tz)]、を単結晶として得ることに成功した。カテコラートとpyz環が交互にスタックした構造を有しており、室温で半導体程度の電気伝導性が確認された。
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[Publications] M.Kondo,M.Matsuzaka S.Kitagawa 他2名: "Novel 3-D Framework with Channeling Cavities for Small Molecules.{[M_2(4,4.-bipyridine)_3(NO_3)_4].xH_2O}n(M=Co,Ni,and Zn)" Angew.Chem.Int.Ed.Engl.36. 1725-1727 (1997)
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[Publications] M.Kondo,S.Kitagawa 他3名: "Novel Ligand-UnsupportedDirutheniumCompounds,[Ru_2(Cl_4Cat)_4]^<n->,(Cl_4Cat=tetrachlorocatecholate;n=2 and 3)" J.Am.Chem.Soc.120 π. 455-456 (1998)