1997 Fiscal Year Annual Research Report
脳神経外科手術における感覚と手術操作間ギャップの分析
Project/Area Number |
09220213
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
加藤 天美 大阪大学, 医学部, 助手 (00233776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸野 文郎 大阪大学, 工学部, 教授 (10283722)
田村 進一 大阪大学, 医学部, 教授 (30029540)
早川 徹 大阪大学, 医学部, 教授 (20135700)
吉峰 俊樹 大阪大学, 医学部, 講師 (00201046)
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Keywords | 仮想現実 / 脳神経外科手術 / 手術顕微鏡 / 立体知覚 / 手術ナビゲ-タ / ビデオシースルー / ピクチャーインピクチャー / インターフェイス |
Research Abstract |
脳神経外科領域において仮想現実(VR)の応用がすすんでいる。しかし、術者とVR環境との適切なインターフェイスに関する研究はほとんどない。私たちはpicture in picture(PIP)機能を有するビデオシースルー顕微鏡と脳神経外科手術ナビゲ-タを用いて仮想物体に対する操作軌跡を記録、分析し、知覚と操作のギャップについて検討した。 まず、術野を想定して円筒状のファントムを作成し、その内に操作の始点ならびに目標点を表す小球を立体的に配した。また、操作者には見えないがナビゲ-タでその位置が認識できる仮想的なゲート(VRG)を設けた。ファントムは通常の開頭手術を模して顕微鏡下に頭蓋固定器で手術台に固定した。ついで、顕微鏡下の両眼立体視を検討した。顕微鏡下手術熟練者と非熟練者を被験者にあらかじめVRGの位置を提示し、被験者に位置を記憶させた。その後、条件1;肉眼操作で、条件2;顕微鏡下操作で、条件3;ファントムは見ずナビゲ-タ画面下のみの操作で、条件4;PIP機能を併用した顕微鏡下操作で、VRG位置と被験者が認識する位置を吸引管で指し示した。さらに、このVR環境における作業効率を検討するため吸引管先端がVRGを経由してできるだけ正確にかつ早く目標点に到達するように吸引管を操作させた。その結果、顕微鏡下でのVRGの指示において熟練者と非熟練者の間に有意な差が認められた。これは顕微鏡下における奥行知覚が過大評価されることに起因した。また、PIP機能によりVR環境における作業効率が大きく改善された。 本研究では仮想物体の操作を通して、手術顕微鏡下の立体知覚の歪みが明かとなった。これはPIP機能による補正が有効であった。脳神経外科手術では手術顕微鏡の性能は患者の生命に直結しうる重大な問題である。この成果を活かし、実空間との不整合を克服すべくよりよいインターフェイスを考えたい。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 加藤 天美: "脳神経外科における感覚と手術操作間ギャップの分析" 脳神経外科. (印刷中). (1998)
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[Publications] Taniguch M: "Temperature distribution at laser irradiation in a ventricle model. The use of air flow in neuroendoscopic surgery." Neurological Research. 20. 11-14 (1998)
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[Publications] Nakajima S: "Areconstruction method of cerebral surface anatomical image for image guided localization." Journal of Clinical Neuroscience. 4. 80-84 (1997)
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[Publications] 加藤 天美: "ニューロナビゲーションによる低侵襲手術" 先端医療. 4. 26-28 (1997)
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[Publications] Yoshimine T: "Aberrant muscle activation in patients after resection of non-motor areas:Demonstration of surface electromyography." Neuroscience Letters. 244. 1-4 (1998)
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[Publications] Hirata M: "Computational imaging of cerebral perfusion by real time processing of DSA images. Clinical applications" Neurological Research. (印刷中). (1998)
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[Publications] Kato A: "Computer-assisted Neurosurgery" Springer Verlag,Tokyo, 216 (1997)