1997 Fiscal Year Annual Research Report
非線形光学効果を用いた有機ゾル・ゲル光変調デバイスに関する研究
Project/Area Number |
09222201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
森田 隆二 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (30222350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 誠司 北海道大学, 大学院・工学研究科, 講師 (90222322)
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Keywords | 有機非線形光学材料 / J会合体 / 電場変調分光 / クラマ-ス・クロニヒ変換 / パルス圧縮 / 非線形屈折率効果 / 有限応答 / 光ファイバー |
Research Abstract |
本研究は、大きな非線形性を持つ有機材料の利点を生かしつつ、機械的なもろさを克服することのできる可能性のある有機・無機ゾル・ゲル薄膜を用いて非線形光学効果を利用した光変調デバイスを開発することである。 そこで、本年度は、有機材料としてシアニン色素S120のLB膜に注目し、1.シアニン色素(S120)LB膜の電場変調吸収測定、2.シアニン色素(S120)LB膜の3次非線形感受率χ^<(3)>の波長分散の決定を行った。また、CS_2の負の時間応答非線形屈折率効果に着目し、3.CS_2液体ファイバーを用いた新規フェムト秒パルス圧縮法の提案を行った。 ・1.シアニン色素S120のLB膜を作製し、これらの電場変調吸収測定を行った。測定された電場変調スペクトルは、J会合することによる線形吸収ピーク(J-バンド)に対応した鋭い形状を有すること、また、形状が線形吸収スペクトルのエネルギー2階微分係数とほぼ相似であり、非線形性発現メカニズムは、Frenkel型excitonが寄与する1次のシュタルク効果(基底状態と励起状態の永久双極子モーメントの差で表される)により説明されることを明らかにした。 ・2.測定された電場変調吸収スペクトルとクラマ-ス・クロニヒ変換を用いた技法により、シアニン色素LB膜ののχ^<(3)>の波長分散を450-700nmにおいて決定した。この結果、シアニン色素LB膜は、共鳴域では|χ^<(3)>|=2.8×10^<-10>esu,非共鳴域においては|χ^<(3)>|=2.4×10^<-12>esuと大きな値を持つことが明らかとなり、高効率光変調デバイスへの応用が期待される。 ・3.正常分散域において負の時間応答非線形屈折率効果を用いたCS_2液体ファイバーによる新規フェムト秒光パルス圧縮法を提案し、その有用性を計算機実験により明らかにした。この方法は、従来の石英ファイバーを用いた圧縮法と同程度の圧縮効率を有し、かつ、外部位相補償を必要としないという利点を持つ。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Y.Sato, R.Morita et al.: "Ultrafast Dynamic Behaviors of Different Nonlinear Refractive Index Components in CS_2 Using a Femtosecond Interferometer" Jpn.J.Appl.Phys.36-4A. 2109-2115 (1997)
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[Publications] Y.Sato, R.Morita et al.: "Femtosecond Optical Pulse Compressor Using CS_2 Liquid-Core Fiber with Negative Delayed Nonlinear Response" Jpn.J.Appl.Phys.36-11. 6768-6774 (1997)