1997 Fiscal Year Annual Research Report
レチナ-ル蛋白質の発色団レチナ-ルの光異性化のトンネル反応機構
Project/Area Number |
09226101
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
垣谷 俊昭 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90027350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倭 剛久 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (90251587)
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Keywords | バクテリオロドプシン / 光異性化反応 / FTOA / 分子動力学シミュレーション / 波束の時間相関関係 / 励起状態ダイナミクス / 発色団レチナ-ル |
Research Abstract |
バクテリオロドプシンの発色団レチナ-ルは特異的で超高速のtrans‐cis 光異性化を行う。そのメカニズムを明らかにするために、励起状態ダイナミクスにたいして分子動力学シミュレーションとFTOA法で解析した。まず、分子動力学シミュレーションでは基底状態で熱平衡状態を実現しておいてから、突然励起状態の力場に変化させてシミュレーションを続行する。励起状態の発色団のねじれポテンシャルはフラットにおいた。その結果、200フェムト秒後に13=14ボンドが90度近くねじれ、基底状態に遷移するチャンスを持っている。そして、そこでの揺らぎ運動のなかで、ねじれ運動の速度がある程度大きくなる時遷移が起こることが認められた。また、一方向的なねじれが観測された。このような励起状態ダイナミックスの特徴は、発色団近傍のAsp 85と Asp212の役割に依ることも明らかにされた。次に、FTOA法による解析ではレチナ-ル分子の13=14ポンドがねじれないように化学結合で固定したアナログを合成し、これをバクテリオロドプシンのタンパク質に結合させた。その吸収スペクトルをとり、フーリエ変換をおこない、振動波束の時間相関関係を求め、それを元のバクテリオロドプシンのものと比較した。その結果、100フェムト秒まではボンドをロックした効果がほとんどみられず、100フェムト秒を過ぎてからボンドをロックすると振動の波束の進行が遅くなった。このことは、ロドプシンにおいてねじれ運動が最初の100フェムト秒ではあまり進まず、100フェムト秒を過ぎてから本格的なねじれ運動が起こることを示唆している。この結論は分子動力学シミュレーションの結果と矛盾せず、相補的であることがわかる。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] R.Akiyama: "Analysis of the Excited‐State Dynamics of 13-trans-locked-Bacteriorhodopsin." J.Phys.Chem.A. 101,4. 412-417 (1997)
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[Publications] T.Yamato: "Molecular Dynamics Simulation of the Excited-State Dynamics of Bacteriorhodopsin." Photochem.Photobiol.66,6. 735-740 (1997)