1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09226216
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
酒井 明 京都大学, 工学部, 教授 (80143543)
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Keywords | ナノ接点 / 破断 / 量子化コンダクタンス |
Research Abstract |
昨年に引き続き,コンダクタンスを指標とする金属のナノワイヤーの変形挙動に関する研究を継続して行った.これまでの研究により,Auナノワイヤーが示すコンダクタンスのプラトーや,ヒストグラムにおいてG0(=2e^2/h)の整数倍付近に現れるピークは,単純なコンダクタンスの量子化ではなく,むしろAuナノワイヤーの延性(軟らかさ)に関係した現象であることが示唆されている.そこでAu以外の軟らかい金属の代表としてInを取り上げ,mまた逆に硬い金属としてRhとRuを取り上げてナノワイヤーの変形実験を行った.In接点の場合には,Auの場合と同様に接点の破断時にコンダクタンスプラトーが現れる.Auのプラトーよりも長いプラトーも多く観測され,Inが非常に引き伸ばされてから接点が破断することが推察される.またAuの場合と同様にヒストグラムにピークが現れるが,ピークはG0の整数倍には一致せず,約1.3G0に位置しており,Auとは異なっている.しかしピークの電圧依存性はAuと異ならず,電圧が増加するにつれてピークの位置はシフトせずにピークの高さのみが減少してゆく.Auにおける1G0ピークとInにおける1.3G0ピークの電圧依存性が共通していることは,このようなピークの成因がコンダクタンスがnG0に一致しているかどうかには無関係であり,むしろナノワイヤーの延性(軟らかさ)に関係しているとする考えに良く合致している.一方RhとRu接点では,ヒストグラムに明瞭なピークは見られず,幅の広いピークが現れるのみである.このピークの位置がバイアス電圧によってシフトすることから,RhとRu接点のコンダクタンスピークは何らかの接点の電子状態に対応していると考えられる.
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[Publications] Hiroshi Yasuda: "Conductance of atomic-scale gold contacts under high bias" Physical Review B. 56巻3号. 1069-1072 (1997)
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[Publications] 板倉克裕: "遷移金属の原子スケール点接触のコンダクタンス" 第58回応用物理学会学術講演会予稿集第2分冊. 487 (1997)
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[Publications] 安田 浩: "リレー接点における量子化コンダクタンスの電圧依存性" 日本物理学会の秋の分科会講演概要集第2分冊. 333 (1997)
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[Publications] 安田 浩: "金属量子点接触のコンダクタンスの電圧依存性" 第44回応用物理学関係連合講演会予稿集第2分冊. 539 (1997)