1997 Fiscal Year Annual Research Report
熱帯域の大規模雲システムに伴う水・エネルギー循環の解析
Project/Area Number |
09227224
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
高薮 縁 国立環境研究所, 大気圏環境部, 主任研究員 (10197212)
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Keywords | 地表面短波放射 / 衛星データ / 雲の放射強制 / エアロゾル放射強制 / 地上観測 / 放射伝達モデル |
Research Abstract |
本研究では、階層化した熱帯の大規模雲システムに伴う放射フラックスや水物質分布の時間変化を解析し、雲活動の組織化と維持機構において放射や水循環過程がどのような役割を果たしているかを明らかにすることを目的としている。本年度の成果としては、第一に気象衛星「ひまわり」の可視赤外データから導出した雲情報(上層・中層・下層雲量、光学的厚さ、雲頂高度)と高精度の放射伝達モデルを用いて、地表面における短波放射量を見積るシステムを開発した。緯経度0.5度格子において計算された毎時の値を基に統計量を求めることが出来るようになった。 第二に、雲の地表面放射強制の検証の1つとして、地上観測を用いた解析を行なった。すなわち、館野における精度のよい短波放射観測値、大気鉛直構造ゾンデ観測値およびスカイラジオメター観測によるエアロゾルの光学特性値を用いて高精度放射伝達モデルによる計算を行ない、雲とエアロゾルの地表面短波放射強制の年間値を見積もった。1996年の雲+エアロゾルの地表面短波強制の年間平均値は-81Wm^<-2>であり、大気上端の太陽入射の約24%であった。一方、エアロゾル強制は、欠測の3-4月を除く年間平均値が-19Wm^<-2>、約5%であった。また、エアロゾルに含まれる煤の割合は、エアロゾルの吸収・散乱特性を大きく左右するが、測定値が得られていない。そこで、煤の割合に対する地表面放射量の感度実験を行なった。その結果、1月と7月は10%、2月および10-12月は20%、5,6,8月は5%、9月は0%の煤の割合が推定された。
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