1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09228221
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
弘津 禎彦 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (70016525)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 忠勝 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (00242462)
落合 鐘一 帝京科学大学, 理工学部, 助教授 (70169324)
中田 芳幸 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (40164214)
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Keywords | ナノ結晶 / アモルファス合金 / 超塑性 / 高分解能電子顕微鏡 / 粘性流動 |
Research Abstract |
本研究では、安定な過冷却液体温度域を持ち、その温度域で超塑性現象が見い出されているLa_<55>Al_<25>Ni_<20>アモルファス合金について高温引張試験を行い、変形特製並びに組織変化について検討した。また、特に注目される過冷却液体温度域での構造について調べるために、DSC測定、透過型電子顕微鏡観察、電子回折の精密強度測定および分子動力学シミュレーションによるモデル計算を行い、過冷却液体温度域における超塑性現象と微細構造の変化について考察した。 高温引張試験で得られた歪み速度感受性指数(m値)の変化及び透過型電子顕微鏡観察の結果から、ガラス転移温度Tgより低い温度でのm値の増加は、原子の拡散律速によるニュートン粘性流動に起因するものであり、Tgと結晶化温度Txの間については、粘性流動の効果に、引張試験中アモルファス構造から生成した微細折出物からの寄与が加わりm値が減少することわかった。さらに、破断伸びと引張時間の関係および結晶化のTTT図より、結晶化が始まると破断伸びは小さくなり、一方結晶化が起こらない時間内の過冷却液体状態では、歪速度が小さいほど破断伸びが大きくなることが明らかになった。 また、昇温過程でのその場電子回折強度測定から得られた動径分布を解析した結果、Tg-Tx間でLa-Laの原子間距離の増加と減少が二度観察され、それに伴う配位数の減少、増加が認められた。また、ガラス転移の前にはLa-Al、La-Ni原子間相関の大きな変化が見られた。これらは、ガラス転移が段階的に起きていることを示している。一方、分子動力学シミュレーションにおいても実験値とほぼ等しいガラス転移温度、融点が再現され、動径分布解析から、温度上昇に伴うLa-Ni、La-Al、La-La相関ピークのブロードニングと拡散係数の増大が段階的に観察された。これらが二段のガラス転移と密接に関係していると考えられる。
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