1997 Fiscal Year Annual Research Report
耐候性鋼安定さび層を担うクロム置換ゲ-サイトの傾斜組成と大気腐食抑制機能
Project/Area Number |
09229205
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
三澤 俊平 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (70005982)
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Keywords | 鉄鋼腐食 / 大気腐食さび / 耐候性鋼安定さび層 / さび / 鉄酸化物 / 傾斜組成防食機能 / イオン選択性 |
Research Abstract |
前年度までに見出した傾斜組成化した高耐候性クロム置換ゲ-サイトα-(Fe_<1-x>,Cr_x)OOHを含む各種人工さび膜を作成しそのKCl水溶液中の膜電位を測定し、さび層のイオン選択透過性を調べ、以下の知見を得た。 1.オキシ水酸化鉄および酸化鉄ともにアニオン選択性を有する。β-FeOOH>γ-FeOOH>α-FeOOH>α-Fe_2O_3>Fe_3O_4の順にアニオン選択性能は低下し、Fe_3O_4ではほとんど選択性はなくなる。 2.α-(Fe_<1-x>,Cr_x)OOH中のCr含有量が傾斜組成的に増大するにつれてアニオン選択性は弱まりCr量が3.8mass%以上ではカチオン選択的となる。すなわち、耐候性鋼の安定さび層であるクロム置換ゲ-サイトはカチオン選択性を有し、Cl^-のさび層中への侵入を抑制する作用を発現する。 3.吸着酸素酸イオンはα-FeOOH、α-(Fe_<1-x>,Cr_x)OOH、γ-FeOOH膜とも、そのアニオン選択性を弱めるか、もしくはカチオン選択性へと変化させる。 4.イオン選択透過性に及ぼすKCl溶液のpHの影響に関し、Crを含まぬゲ-サイト型結晶α-FeOOH膜ではpH依存性はなく膜電位は一定でありアニオン選択的であるのに対し、Crを含有するとpH5以下では大きく膜電位に影響し、Cr量が12mass%のゲ-サイト膜では中性〜アルカリ性ではカチオン選択性を有するにもかかわらず、pH5以下ではアニオン選択性を有するようになる。 5.さび層のイオン選択性の観点から、耐候性鋼のさび層の保護性は内層クロム置換ゲ-サイトのカチオン選択性/外層アニオン選択性膜からなる一種のバイポーラ膜の形成により、カソード反応が抑制されると結論される。
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[Publications] 山下 正人: "耐候性鋼の最終安定さび層を構成するCr置換微細ゲ-サイトの傾斜組成分布とイオン選択性" 鉄と鋼. 83・7. 448-453 (1997)
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[Publications] 幸 英昭: "各種さび膜の選択的イオン透過性と耐候性安定さび層の防食作用" 材料と環境. 47・3. 101-107 (1998)
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[Publications] M.Yamashita: "Structure of protective rust layers formed on weathering steels by long-term exposure in the industrial atmospheres of Japan and North America." ISIJ International. 38・3. (1998)