1997 Fiscal Year Annual Research Report
脂質とポリマーとの傾斜機能型分子複合体の合成と接着機構の解明
Project/Area Number |
09229220
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中林 宣男 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 教授 (30014020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 昭彦 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助手 (30126263)
石原 一彦 東京医科歯科大学, 医用器材研究所, 助教授 (90193341)
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Keywords | 歯科用材料 / 接着 / 樹脂含浸象牙質 / コラーゲン / ハイドロキシアパタイト / メタクリレート / 生体組織 / 歯質 |
Research Abstract |
本研究ではポリマーと象牙質が単にくっついているという状態より優れた機能を期待できる、ポリマーと象牙質との傾斜機能型複合体(超接着構造体)である樹脂含浸象牙質を歯科治療の現場で速やかに合成するために、歯科用レジンとして用いるモノマーを歯質への拡散性の観点から化学構造に着目して分子設計し、合成した。超接着構造体の合成にあたり、物質透過性をほとんど持たない象牙質側のモノマー透過性を改善するために、歯質を前処理する条件、酸の種類、濃度、時間を変えてハイドロキシアパタイトの溶解量を変化させ、それにともない超接着構造体内のポリマー含量が変化する様子を調べ最適条件を見いだした。このときコラーゲンが酸により変性し、モノマーの透過性が低下しないように留意した。またタンパク質の水素結合を切断する機能があり、モノマーの拡散を促進する化合物の利用も考慮した。また、現在、象牙質側の情報が不足しており、特にモノマー透過性を高めることが、樹脂含浸象牙質中のポリマー含量を増大させる上で必要であり、歯質のモノマー透過性を向上させる方法エッチング、前処理およびボンディングの過程での歯質の変化を追跡することによりを見いだした。また、これまで以上にう蝕菌に対する耐性並びにう蝕菌が産生する酸に対する耐性のある傾斜機能型複合体を歯の表層部に合成する方法を確立した。象牙質のう蝕は、HAの脱灰と次いで起こるタンパク質の分解によるとされており、超接着構造体の解析にはHAの塩酸による脱灰と次亜塩素酸ナトリウム水溶液による象牙質コラーゲンの分解除去を組み合わせて実施することが必要と考えた。超接着構造体の確認はこの構造体がう蝕に侵されないことから実験的に証明した。
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