1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09229248
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Research Institution | Suzuka National College of Technology |
Principal Investigator |
岩田 政司 鈴鹿工業高等専門学校, 工業化学科, 助教授 (10151747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
下野 晃 鈴鹿工業高等専門学校, 生物応用化学科, 助手 (50235686)
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Keywords | 傾斜機能材料 / 湿式濾過成形法 / ヒドロキシアパタイト / 多孔体 / 人工骨 / 人工歯根 / 空隙率 / 沈降 |
Research Abstract |
連続的な傾斜組成分布をもつ成形体作製法として,2成分からなる懸濁液をその組成を連続的に変化させつつ濾過し,濾過ケ-クを圧密・乾燥することにより成形体を作製する「湿式濾過成形法」を提案した。本研究では,この成形法を利用し,内部に空隙率分布を有し,その空隙率分布を設計値通りに制御した多孔体の作製法を検討した。濾過式成形法では,混合部と濾過部を上下に連結させた装置を用い,予め充分分散させた任意の濃度のA,B,2種類の懸濁液を混合しつつ連続的に真空濾過し濾過ケ-クを作製する。このとき,混合部の懸濁液が完全混合状態なら懸濁液組成とケ-ク表面組成は一致する。したがって,A,B,2成分の供給濃度,供給速度を変えることによって,ケ-ク厚さ方向の粒子組成を制御することができる。本研究で得られた結論は以下の通りである。 1.湿式濾過成形法により無機物粒子と炭素質粒子の傾斜組成分布を有する成形体を作製し,これを焼成することにより,厚さ方向に空隙率分布を有する多孔体を作製することができる. 2.湿式濾過成形法においては粒子の沈降が無視できる条件で濾過を行うことが,空隙率分布の設計値を実現する上で必須となる.濾過時間と積算濾液量とから求まるRuthプロットが直線性を示さないときは,沈降の影響が無視できないことを示しており,濾過過程の改善が必要である. 3.濾過過程を改善する際,粒子の沈降速度を小さくする方策より,濾過ケ-クの抵抗を小さくする方策をとったほうがよい.すなわち,嵩高な濾過ケ-クを生成し,内部に濾液の流路を確保するような粒子の組み合わせを探索すべきである. 4.無機物粒子としてヒドロキシアパタイトを用いた焼成多孔体の強度は十分でなく,人工骨・人工歯根として用いるためには,第3成分の添加が必要である。
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