1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09231221
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大江 浩一 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90213636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澤田 誠二 京都教育大学, 教育学部, 教授 (00027062)
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Keywords | Zerumbone / タキソ-ル / 天然物有機化学 |
Research Abstract |
Zerumbone(1)は東南アジア産土生姜(Zingiber Zerumbet Smith)中の0.3-0.5%含まれる11員環トリエノン構造を有するセスキテルペンである。本研究では,1の骨格および官能基の特長を生かして,選択的官能基導入とそれに続く種々の化学変換により様々な天然物骨格の合成を検討した。その結果,渡環反応や骨格再配列によるbicyclo〔5.4.0〕undecane,bicyclo-〔5.3.0〕decane骨格をそれぞれ容易に構築することができた。また,適切な変換によりタキソ-ルのB,C環に相当するbicyclo〔6.4.0〕dodecane骨格を構築できるものと期待される。 1.Zerumbone(1)と様々な求核剤との反応1と種々の求核剤との反応を検討した。1は,触媒量のTBAF存在下,PhSHと3位で選択的に反応し,アクチ体-スルフィド2を与えた。また,1はPhSHの代りにPhSe^-とも反応し,アンチ体-セレニドを与えた。さらに,このようにして得られた2は触媒量のBF_3存在下,過剰量のトリメチルシリルシアニドと反応し,3を与えた。したがって,この2段階の反応は複雑な構造の天然物の合成反応において有用であり,3位と10位に選択的に別々の官能基が導入できる。 2.Zerumbone骨格の新規変換反応3はHFにより,4に変換できた。この際,少量ではあるが,1,7位での渡環反応によってbicyclo〔5.4.0〕undecane骨格を有する5が生成した。一方,3を触媒量のHCIと反応させると,渡環生成物6が良好な収率で得られた。次に,2を2当量の四塩化チタンと低温にて反応させたところ,aphanamol-Iのisodaucane骨格を有した7が収率50%で得られた。
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