1997 Fiscal Year Annual Research Report
含硫黄化合物による高分子多層構造体の構築と層内固定化反応系による機能発現
Project/Area Number |
09232242
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
堤 宏守 山口大学, 工学部, 助教授 (90211383)
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Keywords | ジスルフィド / ポリアミド / 自己集合膜 / 吸着 / 防食剤 / リポ酸 |
Research Abstract |
本研究では,ジスルフィド結合を有するポリアミドによる金属表面修飾とその特性評価,および環状ジスルフィド構造を有するアミノ酸誘導体の金属基板上への修飾およびその修飾基板の各種特性について検討を加えた. 実験に用いたポリマーは,ジスルフィド結合を含むジカルボン酸を酸塩化物とした後,これと種々のアルキル鎖長を有するジアミンとの界面重縮合により得た.基板上へのポリマーの修飾は,10mmol dm^<-3>ポリマー/トリフルオロ酢酸あるいはギ酸溶液に基板を所定の時間浸漬することにより行った.このポリアミドによる表面修飾層のバリヤ-能について検討した.10mMポリアミド溶液への金基板の浸漬時間を種々変化させポリアミド修飾金電極を作製した.ポリアミド修飾電極の1mMフェロシアン化カリウム/0.2M硫酸カリウム水溶液中における定常的な電気化学応答から,修飾層が[Fe(CN)_6]^<3-/4->の応答を妨げられることが明らかとなった. 一方,環状ジスルフィド構造を有するアミノ酸誘導体を合成し,その金属基板上への修飾について検討を行った.修飾は,この化合物のメタノール溶液に所定の時間浸漬することにより行った.高感度反射FTIR測定から,この化合物が金基板及び銅基板上に自己集合膜を形成することが明らかとなった.グルタミン酸誘導体を修飾した銅電極を用いて分極測定を行ったところ,防食能を有していることが明らかとなった.通常用いられている銅の防食剤は,ベンゾトリアゾールのようにベンゼン環を有するものが多く,環境中に放出された際の環境汚染等が懸念されるが本研究で使用した化合物は,いずれも天然に存在する化合物から誘導されたものであり,環境中に放出された場合でも微生物等により分解されるため,環境に与える影響が少ないものと考えられる.
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[Publications] 堤 宏守: "Preparation and Characterization of Self-Assembled Polyamide Film Containing Disulfide Bonds on Gold Electrode" J.Colloid and Interface Science. 185. 432-435 (1997)
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[Publications] 堤 宏守: "含硫黄有機化合物による自己集合膜形成とその応用" 表面技術協会九州支部第127回例会会報. 37・2. 1-6 (1997)