1997 Fiscal Year Annual Research Report
配列、分岐構造および末端構造を高度に制御したポリシラン
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09232255
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
櫻井 英樹 東京理科大学, 理工学部, 教授 (70025873)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三治 敬信 東京理科大学, 総合研究所, 助手 (00287484)
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Keywords | ポリシラン / ブロック共重合体 / ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート / マスクしたジシレン / アニオン重合 / 高分子ミセル / 吸収スペクトル / 臨界ミセル濃度 |
Research Abstract |
今年度は、マスクしたジシレンのアニオン重合によるポリシランと炭素系ポリマー、特に親水性炭化水素系ポリマーである(ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)とのブロック共重合体の合成を行い、その自己会合体の形成について検討した。 ブロック共重合体は、マスクしたジシレンのアニオン重合の後、2-トリメチルシロキシエチルメタクリレートを加え、その後希塩酸を加えることにより、重合の停止とともに脱保護させた。反応後、分別再沈殿によりポリシラン-PHEMAブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体は、メタノール溶液中で光散乱法により、ポリシラン鎖がミセルの内部の疎水的環境で凝集し、溶媒との相互作用のない固体状態(全-トランス構造)で存在しており、PHEMAがそれを保護するような回転楕円体型の粒径約50nmの高分子ミセルを形成していることがわかった。またメタノール溶液中におけるブロック共重合体のUVスペクトルの濃度依存性について測定したところ、あるポリマー濃度以下で吸収スペクトルの劇的な変化が観測された。このようなUVスペクトルの濃度依存性は、ポリシランミセルのいわゆる臨界ミセル濃度(cmc)に対応し、ミセル形成にともないポリシラン主鎖のコンホメーションが大きく変化するためと考えられる。また溶媒組成を変えることによっても、ミセルから単分子また逆ミセルへの形態変化に応じた吸収スペクトルの変化が観測された。このような高分子ミセルの形成はこれまで報告はあるが、ポリマー自体に吸収があり、そのナノ組織化の過程を追跡出来るのは非常に興味深い。このような高分子ミセルなどの自己会合体の形成に関する研究は、ナノメーターサイズの大きさを持つ物質を構築することでユニークな物性を持たせようとする超分子化学として注目を集めており、現代化学の中でも重要な一分野を形成している。ポリシラン鎖を含む完全なミセル形成が高分子ナノ組織体としての新たな物性の発現にが期待される。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Sanji: "Anionic Ring Opening Polymerization of Octamethyltetrasilacyclopentane" Chem.Lett.1121-1122 (1997)
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[Publications] T.Sanji: "Kinetics of Chain Organization at the Thermochromic Transition of Polysilanes" Chem.Lett.255-256 (1998)
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[Publications] H.Sakurai: "Anionic Polymerization of Silicon-Containing Rings" Phosphorus,Sulfur,and Silicon. in press.
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[Publications] T.Hoshi: "Molecular Structure and Photochemical Reactions of Trimethylsilylmethyl-Substituted Masked Disilene" Chem.Lett.(in press.).
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[Publications] H.Sakurai: "John Wiley & Sons" Mechanism and structures in alcohol addition reactions of disilenes and silenes (in press), 30