1997 Fiscal Year Annual Research Report
亜鉛プロテアーゼの基質分解機構と反応中での亜鉛の役割に関する構造研究
Project/Area Number |
09235214
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
畑 安雄 京都大学, 化学研究所, 助教授 (10127277)
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Keywords | セラチアプロテアーゼ / アルカリプロテアーゼ / 亜鉛プロテアーゼ / X線結晶解析 / 部位特異的変異 |
Research Abstract |
X線結晶解析により明らかになったN末端側活性ドメインとC末端部βヘリックスドメインから成るセラライシン亜鉛プロテアーゼの構造に基づく部位特異的変異実験を行い、各ドメインの構造と機能の関係について検討した。N末端側活性ドメイン中の亜鉛配位子のうち、コンセンサス配列HEXXHXXGXXH(X:任意残基)中にあって活性残基Glu177の隣にある亜鉛配位子His176をLeuに変異させると酵素は活性を失うことが分かった。その原因として、配位構造の変化と亜鉛イオン周辺の電荷分布の変化の二つが考えられる。ロイシンは亜鉛配位子にはなれないために、恐らく配位構造が三方両錐型五配位から変形四面体型四配位へと変化するであろうし、変異によって疎水性が増し亜鉛およびその周辺の正電荷が減少して切断されるペプチド結合を構成するカルボニル基の電荷分布も変化して水の酸素による求核攻撃も起りにくくなるであろうから、酵素が失活すると考えられる。一方、C末端側βヘリックス構成ドメインには、前六残基のカルシウム結合配列と後三残基のβ鎖配列からなる九残基コンセンサス配列GGXGXDXUX(U:かさ高い疎水性残基で通常はロイシン)の繰り返しが存在し、Ca^<2+>イオンがカルシウム結合ループに結合してフォールディングが完成して成熟酵素になることが結晶構造から考えられた。そこで、ドメイン中央の規則的βヘリックス形成に寄与するAsp356或いはAsp365をアラニンに変異させてCa^<2+>イオンが結合できなくすると酵素は活性を失った。これらの位置は、活性亜鉛から約40離れていて活性部とは直接的接触はない。しかし、これらの残基の変異で酵素が失活したことから、Ca^<2+>イオンの結合によるβヘリックス形成がセラライシン・ファミリーに属する亜鉛プロテアーゼ酵素の成熟化に繋がることが明らかになった。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yoshiro Miyajima: "Site-Directed Mutagenesis of His-176 and Glu-177 in Pseudomonas aeruginosa Alkaline Protease : Effect on Catalytic Activity" Journal of Fernertation and Bioengineering. 84・6. 588-590 (1997)
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[Publications] Yoshiro.Miyajima: "Long-Range Effect of Mutation of Calcium Binding Asparates on the Catalytic Activity of Alkaline Protease from Pseudomonas aeruginosa" Journal of Biochemistry. 123. 24-27 (1998)
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[Publications] T.Fujii: "The Structure of a Thermoacidophilic Archaeal Ferredoxin with a Novel Zinc Binding Center Crucial for Thermostabilization" Journal of Inorganic Biochemistry. 67・1〜4. 264-264 (1997)
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[Publications] K.Kojoh: "A Dicluster Ferredoxin from the Thermoacidophilic Archaeon Sulfolobus sp.Strain 7 is Highly Stabilized by Its Inherent Zinc and N-terminal Extra Stretch" Journal of Inorganic Biochemistry. 67・1〜4. 265-265 (1997)