1997 Fiscal Year Annual Research Report
一酸化窒素による光応答性ニトリルヒドラターゼの活性制御機構の解明
Project/Area Number |
09235238
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
遠藤 勲 理化学研究所, 生化学システム研究室, 主任研究員 (00087470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
尾高 雅文 理化学研究所, 生化学システム研究室, 研究員 (20224248)
養生田 正文 理化学研究所, 生化学システム研究室, 先任研究員 (50250105)
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Keywords | ニトリルヒドラターゼ / 一酸化窒素 / 非ヘム鉄 / 光応答性 / 活性制御 / 翻訳後修飾 / X線結晶構造解析 |
Research Abstract |
Rhodococcus sp.N-771由来のニトリルヒドラターゼ(NHase)は活性中心に非ヘム鉄を含む金属蛋白質で,菌体を暗条件で置くと不活性化し光で活性化される.これまでに我々は,この光応答が非ヘム鉄への一酸化窒素(NO)の結合と光解離で制御されていることを明らかにした.本研究課題では,光応答の詳細なメカニズムを解明することを目的とし,以下の研究を行った. 不活性型NHase のX線結晶構造解析を行い,結晶構造を1.7Åの分解能で決定した.鉄原子はαβ複合体の境界面に結合しており,αCys109,αCys112,αCys114の3個のs原子,及びαSer113,αCys114の主鎖アミドのN原子が配位子として寄与していた.第6の配位座にはNOが結合しており,NOの上方には基質結合部位と思われるクレフトが存在していた.αCys112,αCys114の側鎖はそれぞれ酸素2,1原子で翻訳後修飾され、システインスルフェン酸、スルフィン酸として存在していた。さらに、この二つの修飾は質量分析によっても確認され、本酵素の非ヘム鉄センターは3種の酸化状態の異なるS原子と2個の主鎖アミドN原子を配位子とする極めて新規な錯体構造をとることが明らかとなった。以上のことから本酵素の非ヘム鉄センターは3種の酸化状態の異なるS原子と2個の主鎖アミドN原子を配位子とする極めて新規な錯体構造をとることを明らかにした。一方、Rhodococcus.sp.N-771におけるNO生成系を明らかにするために、NO生成酵素の基質の解析を行った。NO捕捉剤を用いて培地中における生菌体のNO生成活性を測定したところ,NO生成はL-アルギニンでは促進されず,亜硝酸イオンの添加によってのみ促進された.この結果,R.sp.N-771におけるNO生成は真核細胞に見られるようなL-アルギニンの酸化反応ではなく、嫌気呼吸の過程で機能する亜硝酸還元酵素によって行われている可能性が示唆された.
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Odaka,Masafumi: "Activity regulation of photoreactive nitrile hydratase by nitric oxide" Journal of American Chemical Society. Vol.119. 3785-3791 (1997)
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[Publications] Tsujimura,Masanari: "Structure of the photoreactive nitrile hydratase from Rhodococcus sp.N-771:evidence of a novel posttranslational modification in the cysteine ligand" Biochemistry. Vol.272. 29454-29459 (1997)