1997 Fiscal Year Annual Research Report
電解酸化による新規層状複合酸化物膜の形成と電気化学機能性
Project/Area Number |
09237255
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松本 泰道 熊本大学, 工学部, 教授 (80114172)
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Keywords | 電解酸化 / コバルト酸化物 / オートクレーブ |
Research Abstract |
まずはじめに結晶化した希土類含有CoOOH膜を作製するために、オートクレーブ中(150℃)で種々の電位で電析を行い、Co_3O_4とCoOOHの生じる電位範囲をXRDの分析から求めた。結晶化は約120℃以上の高温で生じ、電位の高いところでCoOOHが生成していることが分かった。一方低い電位ではCo_3O_4が形成した。これは前者はCo^<3+>イオンだけからなるのに対して後者はCo^<2+>を含むことからも理解できる。このCoOOHが生成する電位のもとで、Sm^<3+>イオンを含有する水溶液中で電解酸化を行った後、その格子定数を求めると、Sm含有量が多くなるとc軸が増大することが明かになった。このことはCoOOHの層間にSm^<3+>イオンが入ったために、c軸方向が広がったことを意味している。また希土類を含有するNiOOH膜は、水素吸蔵・放出に類似する特異な酸化・還元反応を陰分極において示すが、この挙動の機構は明確でなかった。考えられる一つの機構は、撹拌により影響を受ける程の大きさの双極子が、陰分極時に表面に形成される、というものである。電気化学的分極により、この双極子が形成され、酸化・還元に類似する電流を示すが、同時に撹拌により機械的に消失する、というものである。しかしながら、この機構解明には、さらなる研究が必要である。
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